矯正を検討している方の中には、「矯正中に痛みがあるのでは?」と気になっている人もいるのではないでしょうか。
歯並びの症状はそれぞれ異なりますし、感じ方も個人差があるので、一概には言えませんが、ワイヤー矯正と比較するとマウスピース矯正の方が痛みを感じにくい傾向になります。
そこで今回は、痛みが出やすいポイントと矯正装置によって痛みの感じ方が違うかについてご紹介します。
ワイヤー矯正とは
ワイヤー矯正は、歯の表面にブラケットをつけて、ワイヤーを通して適切な力をかけて歯を動かす方法です。
歴史のある方法で、多くの矯正歯科医院で対応しています。
ワイヤー矯正は、幅広い症例に対応している方法です。
多くの場合、1ヶ月に1度程度来院して調整をするため、自分で管理することが少ないです。
ただし、白や透明のブラケットやワイヤーが選択できるようになりましたが、矯正装置が目立ちやすいことがあります。
マウスピース矯正とは
マウスピース矯正は、患者さまのお口に合ったマウスピースを作製し、段階的に形の違うマウスピースに交換することで歯を動かす方法です。
透明のマウスピースを使うため、装置の見た目が分かりにくい方法です。
1週間~10日程度で、患者さま自身で交換する方法で、ワイヤー矯正より通院頻度が長い傾向になります。
1日20~22時間程度の装着が必要で、自己管理が必要です。
矯正で痛みが出やすいポイント
矯正治療の中でも、痛みが出やすい3つのポイントがありますのでご紹介します。
歯が動いている時
歯は、歯の周りの歯周組織でしっかりと固定されています。
指で押しただけでは、歯が動きません。
少しずつ適切な力を加え続けると、元通りに戻ろうとする働きと力が加わった方には、骨が少しずつ溶ける働きが起きて、この繰り返しで少しずつ歯が動きます。
そのため、矯正装置をつけた時や装置を調整した時、マウスピースを交換した時に力がかかります。
力がかかり始めた時には、痛みが出やすい傾向になります。
ただし、ずっと痛みや違和感が持続するわけではなく、徐々に落ち着いていることが多いです。
新しい力が加わった当日~3日程度がピークで、1週間程度で落ち着くことがほとんどです。
対処法
装置をつけた時やワイヤー矯正の調整をした時の痛みは徐々に落ち着いてきますが、痛みや違和感が強い場合には、痛み止めを服用する方法もあります。
矯正装置が当たっている時
ワイヤー矯正には、ブラケットがついているため、装置をつけた時に装置が当たった痛みを感じることがあります。
頬などの粘膜に装置が当たることで痛みが起きやすくなります。
多くの場合には、徐々に慣れてくることが多いですが、装置のつけ始めた時などに口内炎ができる場合があります。
また、歯が少しずつ動く過程や力が加わった時などに矯正装置が緩んでしまうことがあります。
その際に、ワイヤーなどが出てしまうことがあります。
その場合には、粘膜を傷つけてしまう可能性があるので、すぐにクリニックに相談しましょう。
対処法
矯正用のワックスでブラケットを覆って、粘膜に当たらないように保護します。
ブラケット装置が当たらないようになると、口内炎はすぐに治ります。
また、ワイヤーが出てしまった場合には装置の調整が必要になるため、すぐに来院しましょう。
食べ物を噛む時の痛み
矯正で歯が動いている時は、歯の周りの組織も敏感になっています。
特に装置を新しくつけた時や調整した時に噛んだ時の力が加わると、痛みや違和感につながりやすいです。
特に固い物を食べると、力が強くかかりやすいため、やわらかい物を意識して食べるようにしましょう。
対処法
装置をつけたばかりの時期は、歯や周りの組織に負担がかかりにくい食べ物がおすすめです。
うどんなどの麺類やおかゆなどは歯や周りの組織に負担がかかりにくいです。
お口の状況と様子を見ながら、食べ物を調整しましょう。
感じ方には個人差があるため、あまり痛みが出ない方もいます。
マウスピース矯正は痛みが少ないの?
マウスピース矯正は、ワイヤー矯正と比較すると痛みが少ない方法といわれていますので、その2つの理由をご紹介します。
ゆっくり少しずつ歯を動かす
ワイヤー矯正は、1ヶ月程度に1度ワイヤーを調整して歯に力を加えます。
矯正用のゴムなどを併用して矯正力をかけることもありますが、ワイヤーで調整して歯を動かすことが多くなります。
マウスピース矯正の場合には、1週間~10日程度で新しいマウスピースに交換するため、ワイヤー矯正と比較すると、ゆっくり歯に力を加えます。
そのため、歯の周りの組織の負担も軽減して、痛みや違和感を最小限に抑えることが可能です。
マウスピースで口を傷つけることが少ない
マウスピース矯正は、患者さまのお口に合わせてスキャンしたデータを元にマウスピースを作製します。
そのため、お口にぴったり合った物を装着するため、装置が当たって傷になる可能性が少ない方法です。
歯並びの状態や歯を動かす過程において、歯の表面に白いプラスチックの「アタッチメント」をつけることがありますが、マウスピースに覆われているため、痛みが出にくくなります。
一方、ワイヤー矯正の場合には、歯の表面に付ける「ブラケット」が当たって痛みが出る場合があります。
※その場合には、ワックスを使用して粘膜に当たらないようにすることができます。
矯正の痛みはいつまで続くの?
矯正の装置をつけたり、調整をしたりした後3時間後程度から次の日くらいに痛みのピークと感じる方が多いようです。
もし、痛みが出たとしても、むし歯のように、継続的に痛みが続くわけではなく、一時的な痛みで徐々に落ち着いてくることが多いです。
そのため、痛みを感じた時には、痛み止めを服用する方法もありますので、ご相談ください。
まとめ
ワイヤー矯正とマウスピース矯正には、それぞれ特徴がありますが、マウスピース矯正は1度にかかる力がワイヤー矯正と比較すると弱いため、痛みを軽減しやすくなります。
また、お口にぴったり合ったマウスピースを作製するため、口を傷つけることが少なくなります。
ワイヤー矯正の場合も痛みが出ないように対処することができるため、痛みや違和感がつらい場合には、歯医者で相談しましょう。