歯列矯正で抜歯して後悔する原因
歯列矯正における抜歯は重要な決定ですが、後悔の原因となることもあります。
以下は、抜歯による後悔の主な原因と、それを避けるためのポイントです。
顔の見た目が変わってしまった
抜歯は顔の形や表情に影響を与えることがあります。
特に前歯の抜歯は、顔の印象を大きく変える可能性があります。
見た目がよくなることを期待して歯列矯正を行ったのに、反対に見た目が悪くなってしまったら後悔してしまいますよね。
顔の見た目が悪い方向に変化しないために、事前に歯科医師と相談し、抜歯をする目的を明確にしたり、リスクについてもコミュニケーションをとることが重要です。
噛み合わせが悪くなった
不適切な治療計画により、噛み合わせが悪化することがあります。
これは歯や顎の位置が変わることによって起こる問題で、食事や発音に影響を与えることがあります。
治療前に詳細な診断を受け、噛み合わせに配慮した治療計画を立てることが重要です。
抜歯後の痛み
抜歯後には痛みや不快感が伴います。
痛みは一時的なものですが、適切な鎮痛対策やケアが不十分な場合、より強く感じることがあります。
どうしても痛みが長いことひかない場合は、すぐに担当の医師に相談しましょう。
健康な歯を抜いてしまったという漠然とした不安
健康な歯を抜歯することに対する心理的な抵抗感や不安は、後悔の原因となります。
ただしこの漠然な不安は実際に何か悪影響がないのにも関わらず不安を感じてしまうことがあります。
その場合は事前にしっかりと抜歯の目的や有効性について担当の歯科医師と話をして、抜歯で健康な歯を抜いたとしてもそれは決して悪いことではないと正しく理解することが重要です。
そもそも歯列矯正で抜歯をする理由
歯列矯正における抜歯の必要性は、以下の具体的な理由に基づいています。
十分なスペースの確保
顎が小さくて歯が並ぶスペースが十分にないために歯並びが乱れてしまっていることが日本人の場合は特に多いです。
その場合、歯をきれいに並べるためにも新たにスペースを作り出す必要があります。
これにより、歯を適切に並べるためのスペースが確保され、歯を動かして歯並びを改善することができます。
矯正治療の成功率をあげる
十分なスペースがないまま無理やり矯正治療により歯を動かすと無理な圧力により、歯並びをきれいにしようとしていたつもりが反対に出っ歯など歯並びが乱れてしまう可能性があります。
こういったトラブルを回避して、矯正治療の成功率をあげるために抜歯は行われます。
矯正治療後の後戻りのリスクを下げる
スペースが十分にないまま無理やり抜歯をせずに矯正治療で歯を動かしてしまうと、治療後に歯が元の位置に戻ってしまう後戻りが起きやすくなってしまいます。
せっかく数年かけて動かした歯が元に戻ってしまうとまた治療しなくてはいけなくなってしまいます。
そういったことが起こらないように抜歯は行われます。
歯列矯正で抜歯をするタイミング
歯列矯正における抜歯のタイミングは、患者の個別の状況や治療計画によって異なります。
しかし基本的には矯正治療の前に抜歯を行うことがほとんどです。
一般的に以下のようなタイミングで抜歯が行われることが多いです
治療開始前
歯列矯正を開始する前に、スペースを作るために抜歯が必要な場合があります。
これは、特に大人の患者において、歯が密集している場合や不正咬合が重度の場合に見られます。
治療中
治療計画によっては、矯正装置を装着した後に抜歯を行うこともあります。
これは、歯が動きやすくなった後に、より効率的にスペースを作るためです。
段階的に
いくつかのケースでは、治療の進行に応じて段階的に抜歯が行われることもあります。
重要なのは、抜歯のタイミングは矯正歯科医の専門的な判断に基づくものであり、患者の個別のニーズと治療計画に応じて決定されるという点です。
したがって、具体的な抜歯のタイミングについては、担当の矯正歯科医と相談することが最も重要です。
抜歯をするメリット
歯列矯正で抜歯が行われる場合、次のようなメリットが考えられます。
歯並びがきれいに並びやすくなる
抜歯により得られるスペースは、残る歯がきれいに均等に並ぶための重要な要素です。
このスペースによって、歯が自然でバランスの取れた位置に整列しやすくなります。
結果として、審美的にも機能的にも改善された歯並びを実現することができます。
歯の安定性が向上し、後戻りのリスクを低減
抜歯によって確保されたスペースは、歯が新しい位置に安定しやすくなります。
これにより、矯正治療後の歯並びの後戻りリスクを減少させることが可能になります。
安定した歯並びは、長期的な観点から見ても、患者さんにとって大きな利点となります。
抜歯をするデメリット
歯列矯正における抜歯には、以下のようなデメリットも存在します。
痛みや腫れを伴う
抜歯は、特に手術直後に痛みや腫れを引き起こす可能性があります。
これらは通常一時的なものですが、患者さんにとっては不快感を伴うことがあります。
痛みや腫れの管理には適切なケアと場合によっては鎮痛剤の使用が必要になります。
治療期間の延長と治療費の増加
抜歯を伴う矯正治療は、抜歯が不要なケースに比べて治療期間が長くなる傾向にあります。
また、抜歯に伴う追加の処置やフォローアップが必要になることから、治療費用が増加する可能性があります。
これらのデメリットを踏まえ、抜歯を伴う歯列矯正を検討する際は、歯科医師と十分に相談し、全ての選択肢を検討することが重要です。
抜歯で後悔しないために事前に確認するべきこと
抜歯に伴う歯列矯正治療を検討する際には、以下の点をより詳細に検討することが重要です。
抜歯の目的と期待される効果を理解する
自分の症状で抜歯を行う目的は何か、抜歯を行わない場合はどんなリスクが考えられるかといったことを事前に担当医師に確認し、抜歯をすることにより、どんな効果が期待できるのかをちゃんと把握しましょう。
歯科医師による具体的な説明を受け、疑問があれば積極的に質問してください。
IPR(インタープロキシマルリダクション)の可能性を探る
IPRは、抜歯の代わりになる可能性があります。
この方法は、歯と歯の間をわずかに削り、スペースを確保するものです。
軽度の症状であればIPRで対応できる場合があります。
他の医院でも意見を聞く
一人の歯科医師だけでなく、複数の専門家の意見を聞くことで、より幅広い視点から情報を得ることができます。
異なる歯科医師の意見を聞くことで、様々な治療選択肢や視点に気づくことが可能になります。
他の医院と比較するためにも、なぜ抜歯が必要だとその先生は判断したのかということもしっかりと聞いておきましょう。
永久歯が生えそろってないお子さんは歯列を拡大できる
永久歯が生えそろっていないお子さんの場合は、第一期治療として「床矯正」を行うことで、顎を広げることができます。
顎がまだ成長段階のお子さんの場合は、そのあごの成長を助ける拡大装置を使うことで、顎を広げて、抜歯をしなくても永久歯をきれいに並べることができる可能性があります。
そのため、お子さんの歯並びについては早めに対応することで抜歯を避けることができるかもしれません。
まとめ
歯列矯正の抜歯で後悔してしまう原因と後悔しないために気を付けるポイントを解説してきました。
顎が小さい人が多い日本人は特に矯正治療の際に抜歯をすることが多いです。
抜歯は痛みを伴ったり治療期間が長くなってしまったりとデメリットもある一方で、矯正治療を成功させて、後戻りを起こりにくくするためには重要な要素です。
自分は抜歯をした方が良いのかを正確に把握して判断することが重要です。
そのために、しっかりと医師とコミュニケーションをとり、抜歯の目的やリスクを知ることが重要です。