保定しないと矯正後は100%の確率で後戻りする
矯正治療後の後戻りとは、治療によって得られた美しい歯並びや噛み合わせが、時間が経過するにつれて元の不均整な状態へと戻ってしまうことを指します。
多くの研究によれば、矯正治療後に適切な保定処置を行わない場合、後戻りする確率はほぼ100%に近いとされています。
これは、歯を移動させる矯正治療が歯列に大きな変化をもたらし、その新しい位置を維持するためには時間とともに定着させる必要があるためです。
矯正治療では、歯を移動させる過程で骨や歯周組織が再構築されます。
この新しい歯の位置が確定するまでには、一定期間が必要です。保定期間中に装着する保定装置は、この新しい位置を維持し、安定させるためのものです。保定装置を使用しないと、歯は元の位置に戻ろうとする傾向があり、結果として治療前の状態に逆戻りしてしまう可能性が高くなります。
保定期間は、患者さんの年齢や矯正治療の内容、歯並びの元々の状態などによって異なります。
一般的には、矯正治療期間と同等か、それ以上の時間を保定期間として設定することが多いです。
保定装置の種類や装着方法、保定期間の長さなどは、歯科医師と相談の上、個々の状況に合わせて決定されます。
矯正後に行う保定とは?
矯正治療が完了した後、歯が移動してしまうのを防ぐために行う「保定」は、治療を成功させるために不可欠なステップです。
保定とは、矯正治療によって得られた理想的な歯並びや噛み合わせを安定させ、後戻りを防ぐために行う処置のことを指します。
保定期間は、矯正治療期間と同じくらい、またはそれ以上の時間を要することが一般的です。
保定の主な方法としては、リテーナーと呼ばれる保定装置の使用があります。
リテーナーには大きく分けて、取り外し可能なタイプと固定式のタイプの二種類が存在します。
取り外し式リテーナー
このタイプのリテーナーは、患者自身が取り外し可能な装置です。透明なプラスチック製のものや金属線とプラスチックを組み合わせたものがあります。睡眠時や指定された時間帯に装着し、食事や歯磨きの際には取り外すことができます。
固定式リテーナー
固定式リテーナーは、主に下の前歯の裏側に固定される小さな金属線です。このタイプのリテーナーは常時歯に固定されているため、24時間体制で歯並びを維持することができます。
保定期間中は、リテーナーの適切な使用と管理が求められます。取り外し式リテーナーの場合は、正しく装着すること、清潔を保つことが重要です。固定式リテーナーの場合は、定期的な歯科診療でのチェックが必要です。
保定期間は個々の症状や治療内容によって異なり、矯正治療を行った歯科医師が個別に指示します。
保定装置の正しい使用と適切なケアを心がけることで、矯正治療の成果を長期間保持することができます。
矯正治療後に後戻りしないためにするべきこと
矯正治療後に美しい歯並びを維持し、後戻りを防ぐためにはいくつかの重要なポイントがあります。
決められた時間保定装置を装着する
最も重要なのは、歯科医師から指示された通りに保定装置を装着することです。
装着時間や期間は個々の症状や治療内容によって異なりますが、指示された通りに厳守することが重要です。特に、取り外し式のリテーナーを使用している場合、指定された時間を守らないと、歯が元の位置に戻ろうとするリスクが高まります。
リテーナーを装着する時間を短縮したり、勝手に期間を短くすることは、治療効果を損なう可能性があります。
口に圧力をかける習慣をやめる
指やペンを噛む、唇を噛む、頬杖をつくなど、口や歯に無意識のうちに圧力を加える習慣は、歯並びに影響を与えることがあります。
これらの習慣が原因で歯が動き、後戻りする可能性があるため、意識してやめるようにしましょう。
このような習慣は、無意識のうちに行われることが多いため、日常生活での自分の行動に注意を払うことが大切です。
リテーナーを正しく扱う
リテーナーは、矯正治療の成果を維持するための大切な道具です。
取り外し式リテーナーの場合、定期的に清潔に保ち、破損や変形がないか定期的にチェックしましょう。
また、固定式リテーナーの場合は、定期的な歯科診療を受け、リテーナーの状態をチェックしてもらうことが重要です。
リテーナーの不適切な扱いや管理不足は、治療成果を損なう原因になります。
再治療が必要だと判断する基準
矯正治療後に後戻りを経験すると、再治療が必要かどうかを判断する必要があります。再治療の必要性は、以下のような基準に基づいて判断されます。
自分が嫌だと感じるかどうか
最も重要なのは、患者自身が自分の歯並びや噛み合わせに対してどのように感じているかです。
後戻りが発生したことで、見た目や機能面において不満がある場合、再治療を検討することがあります。
例えば、歯並びが目立って悪化したり、噛み合わせに違和感が生じたりする場合は、再治療が必要とされることが多いです。
患者自身の感じる不満や不安を歯科医師と共有し、再治療について相談することが重要です。歯科医師は、患者の現在の状態を評価し、必要ならば再治療の計画を立てます。
再治療を検討する際には、患者の年齢、歯の状態、前回の矯正治療からの期間など、様々な要素を考慮する必要があります。
再治療を行う場合の費用
矯正治療後の後戻りが生じた場合、再治療を検討することになりますが、その際に考慮すべき重要な要素の一つが費用です。
再治療の費用は、治療の範囲や複雑さによって大きく異なることがあります。
軽度の乱れの場合
軽度の歯並びの乱れやわずかな噛み合わせの問題の場合、比較的簡単な治療で済むことが多く、費用も抑えられます。
例えば、部分的な矯正や短期間の治療が可能な場合、全体的な矯正治療に比べて低コストで済むことが一般的です。
再治療プランなどを用意ししている医院もあるので、そういった制度を利用すると軽度であれば10万円ほど~で再治療可能な場合があります。
しかし、これは治療内容や使用する装置の種類によって異なるため、具体的な費用は歯科医師に相談する必要があります
噛み合わせから治療が必要な重度の乱れの場合
一方で、重度の歯並びの乱れや噛み合わせの問題が再発した場合、より複雑で長期間にわたる治療が必要になることがあります。
このような状況では、初回の矯正治療と同等、またはそれ以上の費用がかかる可能性があります。
初回の矯正治療と同等の場合は、全体矯正で60~100万円ほど、部分矯正であれば30~60万円ほどのケースが多いでしょう。
もしくはそれ以上かかるケースも存在します。
重度の場合、全体的な矯正治療が必要になることが多く、その際には新たな矯正装置の装着や長期にわたるフォローアップが必要となります。
再治療の際には、過去の矯正治療の経験を踏まえ、より効果的かつ経済的な治療計画を検討することが重要です。
再治療の費用に関しては、歯科医師と十分に相談し、可能な限り詳細な見積もりを得ることをお勧めします。
再治療は、新たな矯正治療としての性質を持つため、費用面での検討は患者にとって重要な要素の一つです。
治療計画の際には、効果と費用のバランスを考慮しながら、最適な選択を行うことが求められます。
また、保険の適用範囲や支払い計画についても、事前に確認することが望ましいです。
まとめ
矯正治療後の後戻りは、多くの患者にとって重要な懸念事項です。
適切な保定を行うことで、治療によって得られた美しい歯並びを維持し、後戻りを防ぐことが可能です。
リテーナーの適切な使用と管理、口に圧力をかける習慣の改善、定期的な歯科診療の受診が、後戻りを防ぐための鍵です。
万が一後戻りが発生した場合、その程度によっては再治療が必要になることもあります。
再治療を検討する際には、歯科医師と十分に相談し、治療計画や費用についても検討することが重要です。
矯正治療は、単に歯並びを整えるだけでなく、その後のケアや管理が治療成功のカギを握ります。
患者自身の意識と歯科医師との連携により、長期的な健康と美しさを維持することが可能になります。