「少し食事をしただけなのに顎が疲れる…。」
食事は1日3回程度あるので、顎に疲労感が出ていると食事がストレスになってしまうこともあります。
顎がすぐに疲れるのは、歯並びが悪く、噛み合わせのバランスが崩れている可能性があります。
そこで今回は、顎が疲れるのは、歯並びに原因があるのかについてご紹介します。
噛み合わせが悪いと負担がかかる
すぐに顎が疲れる場合には、噛み合わせのバランスが悪くなっている可能性があります。
歯には、1本1本に役割があり、それぞれのバランスを保っています。
一部の歯が強く当たっていると、ほかの歯が当たりにくくなり、噛み合わせのバランスが悪くなってしまいます。
歯並びは一人一人違うので、噛み合わせも異なります。
たとえば、「出っ歯」の方は上の前歯が前に出ているので、前歯が噛み合わないことが多くなります。
そうすると、前歯で噛んでいない分、奥歯に負担がかかりやすくなります。
食事をする時も、前歯でかみ切りにくいので、奥歯を使うことが多くなり、その結果顎にも負担がかかりやすい状態です。
また、左右バランスよく噛むことが大切ですが、どちらか偏った方ばかりで食べる習慣がある方も顎が疲れやすくなります。
噛み合わせのバランスも悪くなってしまう可能性があるため、左右均等に噛むようにしましょう。
噛み合わせのバランスが悪いと起きる4つのこと
1 顎関節症のリスクが高くなる
噛み合わせのバランスが悪くちんと噛めていないと歯や顎に負担がかかります。
その状態が長期間続くと、顎に負担がかかり続けて「顎関節症」のリスクが高くなります。
顎関節症は、初期の段階では口を開けると音がする、口が開きにくいなどの症状ですが、悪化すると、口を大きく開けられない、口を大きく開けると痛いなどの症状が出ます。
さらに悪化すると、顎関節が変形してしまうケースもあります。
そうすると、顎関節の手術が必要になる場合もあるので、早めに対応しましょう。
2 むし歯や歯周病のリスクが高くなる
噛み合わせのバランスが悪い方は、歯並びが悪いことが多く、歯が重なっている部分に汚れが残りやすいです。
歯並びが悪くなっている部分は、汚れが残りやすく、磨きにくいので、むし歯や歯周病のリスクが高くなります。
汚れが残ったままになると、口臭を引き起こす原因にもつながります。
3 身体のバランスにも影響がある
噛み合わせはスポーツなどの時にも重要で、世界で戦う一流アスリートは、噛み合わせのバランスを整えている方が、瞬間的な力を発揮しやすいと考えられています。
そのため、歯を守る目的だけでなく、スポーツのパフォーマンスを上げるために、スポーツマウスピースを作製することがあります。
お口の形態にぴったり合っていることで、噛み合わせのバランスを整え、瞬間的な力を発揮しやすくなります。
4 身体の不調につながる
噛み合わせのバランスが悪いと、顔のゆがみにつながってしまうことがあります。
また、口周りが緊張していると、関連して、首こりや肩こり、片頭痛を引き起こしてしまう場合も。
これらは、咬合関連痛と呼ばれ、お口はその部分と接していないのですが、噛み合わせのバランスが崩れていることで、発生しやすくなります。
顎の疲れを引き起こしやすい歯並びとは?
出っ歯(上顎前突)
上顎の前歯が出ている状態です。
上顎が前に出ている場合と、歯が傾いている場合があります。
また、下顎の成長不足の場合にも出っ歯になる可能性が考えられます。
遺伝的な要素もありますが、舌を出すくせがある、口呼吸、長期間つづく指しゃぶりなどが原因で出っ歯になることもあります。
指しゃぶりは、お子さんの気持ちを安定させる目的があるとも考えられており、3歳までは無理に止めさせる必要は少ないといわれています。
ただし、3歳を超えても指しゃぶりをしている場合には、歯並びに悪影響を及ぼす可能性があるため、徐々に止めるように促していくことをおすすめします。
お子さんのタイミングもあるので、無理のない範囲で少しずつ止められるように声かけしましょう。
受け口(下顎前突)
受け口は、下の前歯が前に出ている状態です。
特徴的な見た目なので、コンプレックスを抱いてしまうことも少なくありません。
また、歯並びに由来している場合と、骨格のバランスが悪くなっている場合があり、重度の骨格性の不正の場合には、外科矯正も併用して治療が必要なケースもあります。
顎を前に出す癖なども関係している場合がありますが、多くは遺伝的な要素があります。
舌で歯を押すくせも受け口になる可能性が考えられます。
叢生(ガタガタした歯並び)
日本人は顎が小さい傾向にあるため、歯が並ぶスペースが足りずにガタガタした歯並びになりやすいです。
顎の成長過程で「しっかり噛む」ことが顎の成長を促しますが、やわらかい物ばかり食べる習慣があると顎の成長が促されにくくなってしまいます。
そうすると、叢生のリスクが高くなります。
開咬(前歯が噛み合わない)
奥歯は噛んでいるのに、前歯が噛み合わない状態を開咬といいます。
「舌を前に突き出すくせ」や「指しゃぶり」を長期間している場合などになりやすい歯並びです。
前歯で食べ物をかみ切りにくいので、長期間その状態が続くと、消化機能に負担がかかる可能性があります。
すきっ歯
歯と歯の間にすき間が開いている状態をすきっ歯といいます。
すき間の部分に汚れが残りやすいので、むし歯や歯周病のリスクも高くなります。
また、見た目が気になってしまうことが多く、審美性にも問題がある歯並びです。
ただし、スペースがあることが多く、部分的に矯正をして歯並びが改善する場合があります。
部分矯正の適用は患者さまの歯並びによって異なりますので、クリニックに相談してみましょう。
まとめ
歯並びが悪いと、顎に負担がかかる場合があり、疲労感や顎関節症のリスクもあります。
噛み合わせのバランスは大切で、口周りが緊張していると、肩こり、首こり、頭痛などさまざまな不調を引きおこしてしまうこともあります。
矯正をして、歯並びを整えると、見た目の審美性はもちろん、噛み合わせのバランスを整えることができるため、「しっかり噛む」ことができます。
噛み合わせのバランスを整えて食事ができると、歯や顎の負担を軽減して、いつまでもご自分の歯で食事を楽しめることにつながります。
矯正治療が気になる方はお気軽にご相談ください。