歯並びをきれいに治したいけど、周りに知られずに歯の矯正をしたいと思われる方は多いのではないでしょうか。
歯の矯正に使う装置として、ワイヤー矯正だけでなく、最近では目立たないマウスピース矯正が注目を集めています。
本当にマウスピース矯正で歯並びは治るのか、またマウスピース矯正にはどのようなメリットとデメリットがあるのかなど、マウスピース矯正の基本について詳しくお話をいたします。
- 1. マウスピース矯正とは?
- 2. マウスピース矯正のメリットとデメリット
- 3. ワイヤー矯正の特徴とは?マウスピース矯正との違い
- 4. マウスピース矯正で治せる症例、治せない症例とは?
- 5. マウスピース矯正はどのようにして歯を動かすの?
- 6. マウスピース矯正は虫歯になりにくいって本当?
- 7. マウスピース矯正の装着時間はどのくらい?
- 8. マウスピースを付け忘れたら歯が元の位置に戻ってしまう?
- 9. 全体矯正と部分矯正どちらも対応可能なマウスピース矯正
- 10. マウスピース矯正はどのようなメーカーから提供されているの?
- 11. マウスピース矯正の治療期間はどのくらい?
- 12. マウスピース矯正の流れとは?
- 13. インビザラインに不可欠なチューイ、アタッチメントとは?
- 14. マウスピースが破損・紛失した場合どうなるの?
- 15. マウスピース矯正で失敗しないための歯科医院選びとは?
- 16. まとめ
マウスピース矯正とは?
歯の矯正といえば、ギラギラと金属が目立つ、表側ワイヤー矯正ではないでしょうか。
ワイヤー矯正は、歯の矯正において最もスタンダードな治療法であり、エビデンスも豊富なため今も変わらず提供されています。
ただ金属の装置はとても目立つため、歯の矯正を躊躇する方もいらっしゃるのではないでしょうか。
マウスピース矯正は、「周りにバレず、目立たずに歯並びを治すことができる」というコンセプトであり、矯正装置がとても目立つワイヤー矯正のデメリットを完全に覆す治療法です。
しかしマウスピース矯正は、ワイヤー矯正と比べると比較的新しい治療法です。
そのため、マウスピース矯正に対する不安などをお持ちの方もいらっしゃるでしょう。
まず、マウスピース矯正の特徴について分かりやすく説明いたします。
歯の矯正で使われるマウスピースの素材は、透明で柔らかいウレタンです。
メーカーによってはハードタイプのマウスピースもありますが、基本は柔らかめのウレタンです。
マウスピースを装着することで歯に断続的に弱い力を加え、少しずつ歯を動かすという仕組みになっています。
このマウスピースを、医師から指示された期間に従って自分で交換しながら理想の歯並びへと治していきます。
マウスピース矯正のメリットとデメリット
歯の矯正を考える際に、悩むのがワイヤー矯正にするか、マウスピース矯正にするかではないでしょうか。
それぞれの特徴をしっかりと理解することが、ご自身の歯並びのお悩みを、理想の歯並びへと改善する大きなポイントとなります。
まずは、マウスピース矯正のメリットとデメリットについてご説明します。
マウスピース矯正のメリット
1.透明で目立たない
マウスピース矯正の最大の特徴は、透明で目立ちにくいということです。実際に装着してみると、近くで見てもほぼ分かりません。
メタルブラケット矯正にありがちな、「装置が目立つ」という懸念点がないため、日常生活はもちろん、結婚式や就活など、大切なイベントを控えていても治療を進めていくことができます。
2.取り外し式で日常生活が送りやすい
固定式のワイヤー矯正と違い、マウスピース矯正はご自身で着脱を行います。
食事や歯磨きのときはマウスピースを取り外すことができますので、矯正治療前のように過ごすことができます。
ワイヤー矯正のように、繊維質のものが装置に挟まる、ということもありませんので、食事も楽しむことができます。
3.痛みが少ない
マウスピース矯正は、弱い力で歯に断続的に力を加えるのが特徴のひとつです。1枚のマウスピースで歯が動く量は約0.25ミリ、1か月で最大約1ミリと少しずつ動かしていきます。
そのため痛みがそれほど強くありません。
4.虫歯や歯肉炎になりにくい
マウスピース矯正はマウスピースを外して歯磨きをすることができます。
ワイヤー矯正よりも歯磨きがしやすく、虫歯や歯肉炎のリスクを抑えることができます。
ただし、きちんと歯磨きができていることが前提です。
5.ホワイトニングも同時に行うことができる
マウスピース矯正は、ホワイトニングも同時に行うことができます。
オフィスホワイトニング、ホームホワイトニングどちらも受けることができますので、歯並びを整えながら歯を白くすることが可能です。
6.金属アレルギーがあっても対応できる
マウスピース矯正は、金属を一切使っていません。
そのため、金属アレルギーをお持ちの方でも歯の矯正が可能です。
7.スポーツや吹奏楽をしている方にも適している
マウスピース矯正は素材が柔らかいため、スポーツをする方にとっても怪我をするリスクを軽減できます。
ワイヤー矯正の場合、万が一口元をぶつけてしまった場合、ブラケットやワイヤーなどで唇などを傷つけてしまうことがあります。
また装置の破損にも繋がります。
マウスピース矯正はワイヤー矯正に比べると、口元をぶつけてしまった際のトラブルが少なくて済みます。
また、フルートやサックスなど吹奏楽をしている方も、ワイヤー矯正よりマウスピース矯正のほうが融通が利きやすいでしょう。
練習や演奏をするときだけなど、時間を決めて取り外すことができます。
マウスピース矯正のデメリット
このような特徴を持つマウスピース矯正ですが、デメリットも持ち合わせています。
納得して治療を受けるためには、デメリットやリスクも把握しておくことが大切です。
では、マウスピース矯正のデメリットとはどういったことが挙げられるのでしょうか。
- ワイヤー矯正に比べると対応できる症例が限られる
- 外科矯正を伴うような骨格が原因の場合、対応ができない
- 自己管理が出来ない方には不向き
- 枚数が限られたコースの場合、理想とする仕上がりにならないことがある
- 1日20時間以上の装着が必要
- 絶対にむし歯にならないとは限らない
マウスピース矯正はこのようなデメリットがあることを理解しておきましょう。
ワイヤー矯正の特徴とは?マウスピース矯正との違い
ではワイヤー矯正の特徴はどうでしょうか。
ワイヤー矯正は、以下のような特徴を持っています。
- あらゆる症例に対応可能、難症例においても治療ができる
- 抜歯を伴う症例にも対応できる
- 歯を大きく動かすことができる
- セラミックブラケットや裏側矯正など、目立ちにくい装置が選択できる
- 固定式で、自己管理が難しい方に向いているが、食事や歯磨きがし辛い
- むし歯や歯肉炎のリスクがやや高い
- 金属アレルギーの方は選択肢の幅が狭くなる
- 歯を動かす幅によっては、痛みが強くなることがある
- 表側矯正の場合、ホワイトニングはできない
ワイヤー矯正は、どのような症例にも対応できる強みがあり、骨格が原因の症例にも対応できます。
外科矯正を伴う術前術後の矯正治療や、難症例と言われる難しい症例でも対応できる可能性が高いのが、ワイヤー矯正です。
マウスピース矯正はこの点においてはワイヤー矯正に及びません。
ご自身の症例がマウスピース矯正で治すことができるかどうかが、理想の歯並びへの第一歩となるため、マウスピース矯正では治せない、ということもあることを理解しておきましょう。
こちらも参考に!
マウスピース矯正で治せる症例、治せない症例とは?
マウスピース矯正は、幅広い症例に対応できるようになってきました。
しかし、中にはマウスピース矯正では治すことが難しい、あるいはマウスピース矯正で治療をしても理想の歯並びにならない、といったこともあります。
ではマウスピースはどのような症例に対応できるのか、また治せない症例についても説明いたします。
マウスピース矯正で治すことが可能な歯並び
- 骨格が原因ではない出っ歯
- 骨格が原因でない受け口
- 抜歯を必要としない叢生(ガタガタの歯並び)
- すきっ歯
- 過蓋咬合
- 骨格が原因でないオープンバイト
- 以前歯の矯正を行った際の後戻り
このように、マウスピース矯正は「骨格が原因でない」症例に対応が可能です。
マウスピース矯正はあくまでも軽度~中程度の歯並びの悪さや不正咬合を治すことが可能と言えます。
マウスピース矯正では治すことが難しい歯並び
- 骨格が原因の出っ歯、受け口、オープンバイト
- 顎の骨のズレによる正中のズレ
- 抜歯を必要とする症例(対応可能な場合もあります)
- 外科矯正が必要な症例
顎の骨が原因の不正咬合の場合、マウスピース矯正では治療が困難です。
ワイヤー矯正や外科矯正で顎の骨からのアプローチが必要です。
抜歯が必要なケースでは、基本的にマウスピース矯正では対応が難しいと言われていますが、抜歯を伴うマウスピース矯正が得意としている歯科医院などでは対応できる可能性があります。
ただ多くの場合、抜歯を行う際は歯を大きく動かすワイヤー矯正のほうが適していると判断されるでしょう。
マウスピース矯正はどのようにして歯を動かすの?
ではマウスピース矯正は、どのようにして歯が動くのでしょうか。
マウスピース矯正は、マウスピースを1~2週間の間隔で新しいものに交換します。
マウスピースをはめることで歯に弱い力を断続的に加えることで少しずつ歯が動きます。
現在の歯並びに対し、装着するマウスピースはピッタリ同じではありません。
現在の歯並びとマウスピースには若干のズレがあり、このズレがあることで歯に力を加え、歯を移動させていくのです。
そのため初めてマウスピースを装着したときや、新しいマウスピースに交換したときは、痛みや圧迫感を感じます。
そして次のマウスピースに交換する頃には、そのマウスピースは現在の歯並びとほぼマッチしています。
つまり歯が動いているということになるのです。
マウスピース矯正はこの仕組みを利用して、少しずつ歯を動かしていくのです。
自分では実感し辛いかもしれませんが、弱い力を断続的に加えることで、きちんと歯は動くのです。
マウスピース矯正は虫歯になりにくいって本当?
マウスピース矯正と虫歯の関係
歯の矯正を進めるうえで気になるのが、虫歯です。
虫歯はお口の中に存在する細菌が作り出すプラークに虫歯菌が棲みついて、歯を溶かす酸を作り出します。
そのプラークの元になるのは、食べかすです。
食べかすが残っていることでプラークが作られてしまうため、歯磨きはしっかりと行わなければいけません。
しかし、ワイヤー矯正はお口の中に複雑な装置が付いたまま歯磨きをしなければいけないので、食べかすや汚れが落としにくい状態になっています。
特に奥歯はフロスなどが通しにくいため、虫歯が作られやすくなってしまいます。
このように、ワイヤー矯正は歯磨きのしづらさから、虫歯リスクが高いと言われているのです。
マウスピース矯正と虫歯の関係
ではマウスピース矯正はどうでしょうか。
マウスピースの大きな特徴のひとつとして、マウスピースを取り外して歯磨きをすることができる、ということが挙げられます。
遮るものがないので、歯の矯正治療前のように隅々まで磨くことができることから、ワイヤー矯正と比べると、虫歯リスクはやや低いと言えるでしょう。
ただし、これは「歯磨きが出来ている」という条件があってこそ成り立ちます。
「歯磨きをしている」と「歯磨きが出来ている」では大きな違いがあります。
マウスピース矯正は、マウスピースで歯をすっぽりと覆います。
そのため、汚れが残ったままだとプラークや虫歯菌をマウスピースの中に閉じ込めてしまい、虫歯菌が活動してしまいます。
また唾液がマウスピースの中に流れ込みにくいので、虫歯菌などの細菌を洗い流すことができません。
特に歯の噛み合わせ部分である咬合面に虫歯ができやすいので要注意です。
歯磨きをきちんと行うことが重要
ワイヤー矯正であってもしっかり歯磨きが出来ているのと、マウスピース矯正でも歯磨きがきちんと出来ていなければ、どちらが虫歯になりやすいでしょうか。
このように、マウスピース矯正だから虫歯になりにくい、というのは一概には言えません。
ワイヤー矯正もそうですが、歯の矯正中に虫歯ができると途中で虫歯治療を受けなければいけないこともあり、治療計画にも影響が出てしまうことがあります。
マウスピース矯正の大きなメリットである取り外し式であるところを最大限に利用し、しっかりと歯磨きを行うことが、歯の矯正をスムーズに進めるコツと言えるでしょう。
マウスピース矯正の装着時間はどのくらい?
ワイヤー矯正は、いちど取り付けると自分で装置を外すことはできません。
いっぽうマウスピース矯正は、食事や歯磨きの際は取り外し、その後また装着します。
マウスピース矯正は、歯に弱い力を断続的に加えることで少しずつ歯を動かします。
そのためには、1日20時間以上の装着が必要です。
食事や歯磨きを済ませたあとは、速やかにマウスピースを装着することが、歯の矯正を治療計画通りに進めていくうえで欠かせないのです。
ここで、マウスピース矯正に合う人と合わない人の差が出てきます。最初は頑張って20時間以上付けていたけれど、だんだん面倒になって外したら外したまま何日も放置してしまう方は、明らかにマウスピース矯正に向きません。
マウスピース矯正は取り外しが可能であるからこそ、自己管理を必要とする治療法です。
「20時間以上付ける自信がない」「自己管理が苦手で…」という方は、マウスピース矯正は避けた方が良いかもしれません。
医院の治療方針にもよりますが、自己都合で長期間マウスピースを付けていない場合、次のステージのマウスピースが歯にきちんとはまらなくなってしまうこともあります。
そうなると、実費で再度型取りを行わなければいけなくなってしまうこともあります。
マウスピース矯正は、1日20時間以上装着することで効果が表れる治療法です。
まずは、ご自身がしっかりと自己管理できるかどうか、というところからマウスピース矯正にするのか、それともワイヤー矯正のほうが向いているのかを考えてみましょう。
マウスピースを付け忘れたら歯が元の位置に戻ってしまう?
インビザラインなどのマウスピース矯正は、1日20時間以上の装着が推奨されていますが、もしマウスピースを付け忘れて1日過ごしてしまったら、歯が元の位置に戻ってしまうのでは?と心配になることと思います。
マウスピース矯正の場合、1日マウスピースを付け忘れた程度では大きな影響はないと言われています。
しかし、それが2日3日、1週間ともなると、せっかく動いた歯が元に戻ってしまうことがあります。
そうなると治療計画にも影響が出てしまい、予定どおり歯が動かない、ということになりかねません。
これが「マウスピース矯正は自己管理が大切」と言われる理由なのです。
基本的に、1日付け忘れた場合でも大きな影響はありません。
現在付けているマウスピースを1日長く装着すれば問題ないでしょう。
しかし、付け忘れが習慣にならないよう、リマインダーを設定するなどご自身で付け忘れを防止するようにしましょう。
全体矯正と部分矯正どちらも対応可能なマウスピース矯正
マウスピース矯正は、奥歯も含めた歯全体を動かす全体矯正および、前歯だけを動かす部分矯正どちらも対応が可能です。
最近では、前歯に特化したマウスピース矯正が様々なメーカーから提供されており、どのメーカーのものを使えばよいのか迷ってしまうのではないでしょうか。
まず、ご自身の歯並びが全体矯正を必要とする歯並びなのか、ごく軽度の前歯の乱れで、部分矯正で改善が可能なのかを把握し、ご自身にあった方法を選びましょう。
次にマウスピース矯正を提供している各メーカーについてご説明いたします。
マウスピース矯正はどのようなメーカーから提供されているの?
マウスピース矯正は以前と比べると、実に多くのメーカーから提供されています。
同じように見えて異なる特徴を持つマウスピース矯正ですが、それぞれどのようなメーカーから提供されているのでしょうか。
1.インビザライン
インビザラインは、米国アライン社が提供するマウスピース矯正で、世界的シェアトップを占めています。
日本国内でも多くの歯科医院が取り入れており、日本国内で最も利用者が多いメーカーです。
インビザラインは、アライナーと呼ばれる弾力性のあるマウスピースを交換しながら歯を動かします。
奥歯全体から動かす全体矯正と、前歯だけを動かす部分矯正があり、その中でも決められた枚数で歯を動かすパッケージプランなどがあります。
インビザラインには様々なパッケージがあり、患者さんの希望や状態に応じたパッケージを選ぶことができます。
主なパッケージは次のとおりです。
・インビザライン コンプリヘンシブパッケージ
アライナーの作製枚数も治療期間にも制限がないパッケージです。
治療の途中で追加アライナーを作製することも可能です。
難しい症例や奥歯からしっかりと動かす治療を必要とするパッケージですが、費用は高くなります。
・インビザライン モデレートパッケージ
比較的新しいプランであるインビザラインモデレートパッケージとは、片顎26枚、両顎52枚までの治療を、3回行えるというもので、埼大78枚までアライナーが作製できます。
コンプリヘンシブパッケージでは費用が高いうえ、78枚で収まるような歯並びだった場合、こちらのモデレートパッケージのほうが費用を抑えることが可能です。
ただし、抜歯を伴う症例ではアライナーの枚数が足らないことが多いため、コンプリヘンシブパッケージとなるでしょう。
・インビザラインGo
インビザラインGoとは、前歯のみに対応したパッケージです。
歯並び全体ではなく、前歯だけを目立たずに治したいという方に向いています。
アライナーの枚数は20枚で、追加アライナーは1回のみと決まっています。
ごく軽度の前歯の改善に向いているでしょう。
・インビザラインファースト
お子さん向け、ティーンを対象としたパッケージです。
インビザラインはパッケージが多く、名称も変更されることが多いです。
医院さんによっては以前のパッケージ名で記載されていることもあります。
パッケージ内容によってアライナーの枚数が変わってきますので、カウンセリングの際によく確認してください。
2.キレイライン
キレイラインは、比較的新しいマウスピース矯正で、全国にいくつか取り扱い医院があります。
キレイラインは前歯に特化した部分矯正で、いくつかのコースに分かれています。
比較的安価な費用でスタートできるところが魅力でしょう。
キレイラインはあくまでも前歯の部分矯正に対応した治療法ですので、奥歯から動かす全体矯正が必要な方には不向きです。
また必要に応じて拡大装置を付ける必要があるのもキレイラインの特徴です。
ただ、これは医師の判断にもよりますので、拡大装置が必要ない方もいらっしゃいます。
マウスピースの形状は、インビザラインとは少し異なり、歯ぐきを覆うタイプです。
インビザラインは歯と歯ぐきの形状に合わせて設計されていますので、歯ぐきを覆うタイプのキレイラインのマウスピースの場合、マウスピースの辺縁が歯ぐきに当たって傷ができてしまうこともあるようです。
その場合、早めに担当の先生に相談してみてください。
3.Oh my teeth
Oh my teethの最大の特徴は、通院不要というところでしょう。
LINEやビデオ通話などを使うことで通院しなくても良いため、通院時間がなかなか取れない方には最適です。
ただ、サポート体制が整っているとはいえ、実際に歯の動き方や噛み合わせのチェックなどが直接確認できないところが不安な点です。
治療計画どおり正しく歯が動いているのか、噛み合わせはおかしくなっていないかなど、実際に医師がお口の中を直接診察せずに治療を進めていく、ということを事前によく理解しておく必要があります。
Oh my teethをお考えの方は、こういったことも含め、慎重に考えましょう。
4.hanaravi(ハナラビ)
hanaraviは、日本国内のメーカーが製造、提供しているメーカーで、前歯に特化したマウスピース矯正です。
比較的安価でマウスピース矯正が行えることが特徴で、リーズナブルに前歯の乱れを治したい方に適しているでしょう。
hanaraviにもいくつかコースがあり、その中でもワイヤー矯正とマウスピース矯正を併用した、ハイブリッド矯正は全体矯正にも対応しています。
このhanaraviも、LINEでのサポート体制を充実させているのが特徴です。
マウスピースの交換時期なども、LINEを使ってお知らせします。
経過観察は、医師に画像を送付することで確認ができます。
こちらもOh my teeth同様、実際に歯科医師が歯の動きをチェックしないため、不安材料が残るかもしれません。
気軽にマウスピース矯正を行いたい方には向いていますが、きちんと経過を確認したい方には不向きかもしれません。
他にも色々なメーカーからマウスピース矯正が提供されています。
マウスピース矯正における歯の動く仕組みは基本的にどのメーカーも同じです。
枚数が決まっているコース制の場合、理想とする歯並びに届かないこともあり、追加でマウスピースが必要になるなど、かえって料金が高くなることもあるかもしれません。
各メーカーそれぞれの特徴をよく把握し、ご自身に合ったメーカーを選ぶと良いでしょう。
マウスピース矯正の治療期間はどのくらい?
歯の矯正でマウスピース矯正を考えているけど、治療期間はどのくらいかかるの?ワイヤー矯正とどっちが早い?と気になる方も多いでしょう。
ではマウスピース矯正にかかる平均的な治療期間をご紹介します。
部分矯正の場合
部分矯正の場合、前歯だけを動かします。
ごく軽度の症例の場合、約3~6か月程度が目安でしょう。
歯の動き方によっては、部分矯正であっても1年くらいかかることもあります。
全体矯正の場合
全体矯正の場合、症例にもよりますが、2~3年くらいが平均的な治療期間と考えられます。
奥歯全体から動かすこと、または途中でシミュレーションを行い治療計画の変更などがあった場合、当初の治療計画よりも治療期間が延びることもあります。
マウスピース矯正の流れとは?
では、マウスピース矯正はどのような流れで治療を進めていくのでしょうか。
マウスピース矯正の特徴のひとつとして、従来のアルジネート印象材による型取りではなく、光学スキャナーを使うことが挙げられます。
では、マウスピース矯正が始まるまでの流れを、インビザラインを例にとって説明いたします。
1.カウンセリング
マウスピース矯正であってもワイヤー矯正であっても、まずはじめに行うのがカウンセリングです。
カウンセリングでは、患者さんの歯並びや噛み合わせについてのお悩みをお話したり、希望の歯並びや装置などについて患者さんからお話を伺うための時間です。
まずはカウンセリングで歯並びのお悩みや希望の装置などについて、しっかりとお話しましょう。
その日にレントゲンを撮る、お話だけなど医院によってカウンセリング内容は様々です。
2.精密検査
カウンセリングを受け、「この医院で治療を受けたい」となったら、次は精密検査へと進みます。
精密検査では、パノラマレントゲン撮影、セファロ撮影、口腔内写真撮影、CTなど治療計画を立てるための検査を行います。
3.光学スキャナーによる口腔内撮影および歯型採取
マウスピース矯正の場合、光学スキャナーを使って歯型を採取します。
光学スキャナーは従来の粘土を使った歯型採取を行わないことがほとんどです。
そのため、嘔吐反射がある方でも安心して歯型採取が可能です。
4.治療計画を立てる
インビザラインの場合、クリンチェックと呼ばれるソフトにより、治療計画の土台が動画シミュレーションとして作製されます。
歯型採取後の歯並びの状態と、治療計画に沿った歯の動きと最終ゴールがモニター上で確認できます。
後にご説明する、アタッチメントをどこにつけるかなど、細かな修正などもこのクリンチェックで行われるため、治療途中で治療計画が変更されることもあります。
インビザライン以外の、その他のメーカーのマウスピース矯正も同様に治療計画を立てます。
5.マウスピースを装着する
歯型採取後、データはいったんアメリカに送られ、アライナー(マウスピース)が作られます。
インビザライン以外のメーカーの場合、それぞれ提携している技工所に送られ、マウスピースが作製されます。
手元にマウスピースが届いたら、いよいよマウスピース矯正のスタートです。
医師の指示に従い、アライナーやマウスピースを交換します。
インビザラインの場合、だいたい1週間に1枚、アライナーを交換します。
6.調整のために通院する
インビザラインの場合、2~3か月に1度通院し、歯が治療計画どおりに動いているかなどをチェックします。
他のマウスピース矯正の場合も、医院の指示に従って診察を受けます。
7.保定期間に入る
治療計画どおり治療が進み、無事に動的治療を終えた後は、保定期間に入ります。
リテイナーと呼ばれる保定装置を装着し、後戻りが起きないように過ごします。
インビザラインに不可欠なチューイ、アタッチメントとは?
マウスピース矯正の世界的シェアトップのインビザラインの場合、治療計画を円滑に進めるために使われるアイテムがあります。
そのうちのひとつが、チューイと呼ばれる小さなロール状の補助道具です。
アライナーを歯にはめた際、アライナーが浮いてしまうと歯が治療計画通りに動かないことがあります。
チューイは、アライナーを歯にしっかりとフィットさせるためのものです。
アライナーを装着したあと、チューイをグッと噛み込みます。
しっかり噛みこむことにより、アライナーを歯にフィットさせることができます。
特に新しいアライナーに交換したときはアライナーが歯から浮きやすいので、必ずチューイを使うようにしましょう。
もうひとつインビザラインで特徴的なのは、アタッチメントです。
アタッチメントとは、白い樹脂でできた、歯の表面に付ける突起物です。
虫歯治療で使われるレジンやボンドを使って、歯に直接装着します。
アタッチメントを付けることで、歯にかかる力を細かく調整することができます。
アタッチメントの個数や付ける場所は治療計画により様々ですが、中にはアタッチメントを付けずに治療を進めることもあります。
インビザライン以外のマウスピース矯正でも、チューイのような補助道具を使うよう指示があった場合、治療効果を高めるためにも医師の指示に従うようにしましょう。
マウスピースが破損・紛失した場合どうなるの?
歯の矯正を行ううえで、目立たず日常生活を送りやすいマウスピース矯正ですが、マウスピースが破損してしまったり、紛失してしまうことがあります。
まずはその原因を挙げてみましょう。
マウスピースが割れてしまった
基本的に、マウスピースは簡単に壊れることはありませんが、取り扱いが雑であったり、マウスピースを床に落として誤って踏んでしまったなど、状況によってはマウスピースが破損してしまうことがあります。
またマウスピースを付けたまま固いものを噛んでしまい、破損したというケースもあります。
マウスピースを紛失した
破損以上に多いのが、マウスピースの紛失です。
取り外し式のため、管理が悪いとマウスピースをなくしてしまいます。
多いのが、外食の際にマウスピースを取り外し、ティッシュなどで包んだままお店を後にしてしまった、というケースです。
店員さんは中身まで確認することはまずありませんので、自己責任となってしまいます。
また専用のケースに入れず、カバンやポケットに直接入れてしまうのも、紛失の原因となります。
マウスピースを紛失しないためには、外した際に必ず専用ケースに保管することです。
もしマウスピースを破損したり紛失してしまった場合、速やかに治療を受けている医院へ相談するようにして下さい。
再作製になることもあり、その際再作製の費用が必要になる場合もありますので、紛失しないよう保管には十分注意しましょう。
こちらも参考に!
マウスピース矯正で失敗しないための歯科医院選びとは?
ここまでお読みになり、歯の矯正はマウスピースにしようかな・・・と考える方もいらっしゃるのではないかと思います。
マウスピース矯正のメリットやデメリット、注意すべきことをしっかりと理解したら、次は医院探しです。
でも症例の多いワイヤー矯正と比べると、マウスピース矯正では失敗するんじゃないか・・・と心配になってしまうこともあるかもしれません。
マウスピース矯正で失敗しないためには、医院選びがとても大切です。
では歯の矯正をする際にマウスピース矯正で失敗しないためには、どのような医院を選べばよいのでしょうか。
日本国内でマウスピース矯正を取り扱っている医院は非常にたくさんあります。
その中で、マウスピース矯正で失敗しない・後悔しないためのポイントをご紹介しましょう。
1.矯正専門の医師が在籍しているかどうか
歯の矯正は、歯の動きや噛み合わせを専門に診る医師のもとで治療を受けることが大きなポイントです。
というのも、歯の矯正の場合一般歯科でも治療が可能だからです。
だからこそ、専門性が重要になります。
特にマウスピース矯正の場合、歯並びや噛み合わせを専門に診る矯正専門医のもとで治療を受けることが、後悔しない結果に繋がります。
理想の歯並びというゴールを定め、それに沿った治療を行えるのは、矯正専門医の技術と経験が不可欠です。
矯正専門の医院、もしくは一般歯科でも矯正専門の医師が在籍している医院を選ぶようにしましょう。
2.矯正の症例が多いかどうか
歯の矯正で失敗しないためには、症例数の多い医院であることも大切な要素です。
多くの症例を手掛けている医院や矯正専門医の場合、ご自身の症例に似たケースを手掛けていることも多いため、症例数が多いことも医院選びのポイントのひとつです。
3.ワイヤー矯正も行う先生であることが理想的
マウスピース矯正だけでなく、ワイヤー矯正も行っておられる矯正専門の先生であるとより望ましいです。
ワイヤー矯正の治療技術や見識が、マウスピース矯正においてより緻密に発揮できるからです。
中にはワイヤー矯正とマウスピース矯正を併用する先生もいらっしゃいます。
マウスピース矯正だけの症例が多い医院であることも大切ですが、ワイヤー矯正も取り扱っている医院なら、なお安心して治療を受けられるでしょう。
4.通いやすいかどうか
マウスピース矯正に限らず、歯の矯正は通いやすさも医院選びの重要なポイントです。
マウスピース矯正は通院頻度は高くありませんが、マウスピースの不具合や辺縁が歯ぐきに当たって痛みがあり口内炎ができたなどのトラブルが起きた際、すぐ受診できるほうが安心です。
30分~1時間圏内がベストでしょう。
5.相談しやすい先生かどうか
歯の矯正を行っている間に、細かな希望や不安点、疑問点なども出てくることもあるかもしれません。
こういったことを相談しやすい先生であることも、マウスピース矯正での失敗や後悔を防ぐ大きなポイントです。
もし先生に相談しにくい場合、歯科衛生士や受付など、医院スタッフに相談してみる、というのもいかもしれません。
歯の矯正は長期間の通院が必要となります。先生やスタッフと信頼関係を築きながら、理想の歯並びを目指していける医院を選びましょう。
まとめ
マウスピース矯正について詳しくお話をいたしました。
目立たずに歯の矯正を行えるマウスピース矯正のメリットやデメリット、注意点などをよく理解しておきましょう。
まずは良く医院を選び、じっくりとカウンセリングを受けて、納得のいくまで相談してみてくださいね。