歯科矯正とは、ワイヤーやマウスピースなど矯正装置を用いて、歯並びと噛み合わせを整える治療方法です。
しかし、歯科矯正は人間の身体を扱うものなので、歯の移動量や動くスピードは個人差があります。
そのため適切な治療計画を立てても、歯根吸収や歯肉退縮などリスクが生じてしまうこともあります。
そこで今回は歯科矯正で起こりやすいリスクと回避するためにできることを紹介します。
歯科矯正で起こりやすいリスク
歯科矯正を開始するにあたって、リスクを理解しておくことは後悔しないためにも大切なことです。ここでは、歯科矯正で起こりやすいリスクを5つ紹介します。
- 歯根吸収の発生や進行
- 歯肉退縮やブラックトライアングルの出現
- むし歯・歯周病になるリスクの増大
- 噛み合わせの変化による顎関節症の誘発
- 歯の移動による歯髄壊死
歯根吸収の発生や進行
歯根吸収とは、歯の根っこの先端が短くなってしまうことです。
矯正力が強すぎたり、無駄な動きがあったりする場合に歯根吸収が発生することがあります。重症化すると歯がグラグラになることがあります。ただし、歯科矯正で起こる歯根吸収はほとんど重症化することはありません。
歯肉退縮やブラックトライアングルの出現
歯肉退縮とは、歯ぐきが下がって歯の根っこが見えるような状態になることです。
歯ぐきが下がってしまうと、歯と歯の間に大きなすき間ができることがあります。黒い三角形のようにすき間ができることから、「ブラックトライアングル」と呼ばれています。
成人矯正で出現しやすく、見た目に大きな影響を与えてしまうことも。また、歯肉退縮が進むと歯の根っこが露出するため、知覚過敏やむし歯になりやすいリスクもあります。
むし歯・歯周病になるリスクの増大
ワイヤー矯正では歯に装置をつけるため、矯正中は歯磨き残しが多発しやすいです。歯磨きを怠ってしまうとむし歯や歯周病になるリスクは増大します。
マウスピース矯正は自分でマウスピースの取り外しが行えるため、食事は矯正前と同じように楽しめます。
しかし、食後は歯磨きをしてから装着しないと、食べかすや汚れを閉じ込めてしまうため、むし歯や歯周病のリスクが高まります。
噛み合わせの変化による顎関節症の誘発
矯正治療は、正しい噛み合わせになるように歯を動かします。
しかし治療途中では、噛み合わせの変化により、一時的に合わない場合もあります。
それにより、顎関節症を生じる可能性も。顎関節症は、口が開けにくい、顎関節が痛むなどの症状が挙げられますが、噛み合わせが整えば症状は緩和されます。
歯の移動による歯髄壊死
歯を動かす際、稀に歯の神経がダメージを受けてしまうことがあります。
進行すると歯の神経が死んでしまう「歯髄壊死(しずいえし)」を起こしてしまうことも。この場合、神経の治療が必要になることがあります。
歯科矯正のリスクが生じたときの対処法
上記で紹介したリスクが生じた場合、まずは担当の歯科医師に相談し、適切な対処をしてもらう必要があります。
たとえば、歯肉退縮は矯正力の過剰な力によって生じることがあります。そのため、矯正力を抑えて少しずつ歯を動かすとある程度は防ぐことが可能です。
ただ、お口の中の状態によって避けられないリスクもあるため、矯正前に十分な説明を受けて納得したうえで治療を受けましょう。
なお、むし歯などはセルフケアで避けられるリスクであるため、矯正中はご自身の努力も必要になります。
歯科矯正には、本記事に上げたように、様々なリスクがあります。大切な歯を守るためにはこのようなリスクに適切に対応しなければなりません。
そのために、しっかりとした歯科医院を事前に見極め、リスクにいち早く、適切に対応できるように準備しなくてはなりません。また、適切な医院を選ぶことでもともとのリスクを減らすことも可能です。
しかし、一人で無数にある医院を見て回るのは骨が折れる作業です。そこで、歯の専門家にアドバイスを受け、医院選びの参考にするのはいかがでしょうか。
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リスクを回避するためにできること
できれば矯正中に起こるリスクは回避したいものです。ここでは、リスクを回避するためにできることを3つ紹介します。
- 知識と技術を持った歯科医師を選ぶ
- セルフケアを怠らない
- トラブルが生じたらすぐに担当の歯科医師に相談する
知識と技術を持った歯科医師を選ぶ
歯科矯正は専門的な知識と技術が必要になる治療方法の一つ。そのため、知識と技術がある歯科医師を選ぶことが大切になります。
特にマウスピース矯正を選択する際は注意が必要です。なぜなら、近年では一般歯科でマウスピース矯正を取り扱っている歯科医院が増えており、矯正に関する知識が少ない歯科医師が治療にあたっていることもあるためです。
適切な治療計画を立てられず、結果的に歯肉退縮や歯根吸収、噛み合わせのズレといったトラブルを引き起こしてしまう可能性があります。
知識や技術を持った歯科医師を選ぶ際は、日本矯正歯科学会の認定医の資格を持った歯科医師を選ぶ、歯科矯正の治療内容やメリット・デメリットを十分に説明してくれる歯科医師を選ぶなどすると良いでしょう。
セルフケアを怠らない
矯正中はむし歯や歯周病になりやすいため、セルフケアも怠らないようにしましょう。
ただし、矯正方法によってセルフケアの方法は異なります。たとえば、ワイヤー矯正は装置の周囲に磨き残しが多発しやすいため、歯ブラシと併用してタフトブラシを使用するのがおすすめです。
また、マウスピース矯正の場合は、フロスを使用して歯と歯の間にある汚れを除去することが大切になります。
矯正中のセルフケアは、歯科医師または歯科衛生士による指導を受けられるので、「磨き方がわからない」「どの道具を使っていいのかわからない」といった場合は、気軽に相談してみましょう。
トラブルが生じたらすぐに担当の歯科医師に相談する
トラブルが生じたら次の通院日まで我慢するのではなく、すぐに担当の歯科医師に相談することをおすすめします。なぜなら、そのままにすると大きなトラブルにつながってしまう可能性があるためです。
特に以下のようなトラブルが生じた場合、すぐに担当の歯科医師に相談し対処してもらいましょう。
- 我慢できない程の痛みがある
- ワイヤーが折れた
- マウスピースが破損した
- ブラケットまたはアタッチメントが外れた
- 歯ぐきの炎症や腫れ、または膿がでる
- むし歯のような痛みがある
まとめ
歯科矯正で起こりやすいリスクには歯根吸収の発生や進行、歯肉退縮の出現、むし歯・歯周病になるリスクの増大などが挙げられます。
これらのリスクは、治療を受ける前によく理解し、リスクが生じたときに適切な対処法の知識を得ておくことが大切です。
不安なことがあれば歯科医師に相談し、納得したうえで歯科矯正を始めましょう。