矯正を行うと「歯並びが良くなる」「横顔が綺麗になる」「歯磨きがしやすくなる」などのメリットが複数あります!
さらに歯並びにコンプレックスを持っていた人は自信をもてるようになったり、笑顔が華やいだりするでしょう。
また、歯周病のリスクも減るので健康上のメリットもあります。
こんなにもメリットがあるのならば、歯列矯正をしてみたい!って思う人も多くいらっしゃるのではないでしょうか。
しかし、実際にはメリットばかりではなく、リスクもいくつか存在します。
リスクを知った上で歯列矯正を始めることは、理想の歯並びになるためにはとっても大事なことです!
そこで今回は、歯列矯正のリスクを一緒に確認していきましょう。本記事では以下の内容を紹介していきます。
・矯正治療では、抜歯の必要性、口元の歪み、頭痛・顎などの身体的不調、歯根吸収、虫歯・歯周病、歯肉退縮、金属アレルギー、後戻り、口内炎などといったリスクが考えられる
・歯科矯正では治療方法をしっかり検討し、困ったとき相談しやすい環境を選ぶとともにセルフケアもしっかりとするべき
・リスクを減らすための方法としてクリーニング、歯科用ワックスの使用、口内炎用の薬の使用、装置の調整といった方法が考えられる
・高齢での矯正治療はメリットもあるが、歯が動きづらくなっていたり、歯周病等になっていたりすることがあり注意が必要
非抜歯による無理な矯正
歯列矯正をする上で抜歯を行う場合と、抜歯をせず治療を行う場合があります。
歯並びの乱れは、歯が適切に並ぶスペースが足りないことが原因で起こることが多いです。
そのため、抜歯を行い、まずは歯が適切に並ぶためのスペースが確保する必要がある場合も多いです。
特に日本人は比較的、顎が小さい人が多く、抜歯が必要な方が多いです。
抜歯は怖いイメージがあったり、痛みがあったりという理由で避けたいと考える人が多いです。
しかし、前述した通り抜歯で歯を並べるスペースを作らないまま無理やり矯正治療をしてしまうと後戻りが起き、出っ歯など再度歯並びが乱れてしまう可能性が高まります。
ただし、抜歯が必要かどうかはその歯科医師の技術力と判断によって異なりますので、複数の歯科医師に意見をもらうと良いでしょう。
あくまで歯科医師の指示に従い、自分の意志で無理な治療は行わないように気を付けましょう。
口元の歪み
抜歯を行った上で矯正治療を行うと、上下の正中線(上下の歯並びの真ん中の線)が合わなくなるリスクを伴います。
具体的には、上下の歯の大きさが異なったり、本数がもともと異なっていたりする場合には、上下で違う本数の抜歯をおこなうことがあり、正中に合わせにくくなります。こ
ういった場合に無理に正中に合わせようとすると逆に噛み合わせがおかしくなり、顎の痛みや、顎関節症のリスクも高まります。
歯列矯正は歯を綺麗に並べるだけではなく、歯を正しい位置に整えることも大切です。
だからこそ事前にしっかりとカウンセリングを受けることが大切です。
あらかじめ、正中のずれについて考えを共有しておきましょう。
頭痛や身体の不調
歯列矯正の過程で、あごの関節やその周辺の筋肉が正しく機能していないケースもあります。
そのような場合には、頭痛や肩こり、身体のだるさ、顎関節症の症状を引き起こす人もいます。
一見、矯正治療や歯並びには関係ない頭痛や身体の不調も、実は矯正治療が原因になっているケースもあります。
その場合は、歯科医院に相談し、歯並びを調整するなどの処置を受けましょう。
歯根吸収のリスク
歯根吸収(しこんきゅうしゅう)とは、文字通り歯の根っこが溶けたり、消失してしまったりすることを指します。
矯正治療では、歯の新陳代謝(歯を壊しつつ作ることで古いものを新しいものに入れ替える体の働き)を利用し歯を動かしていきます。歯の根っこを少しずつ作り替え、適切な位置に歯を動かしていきます。
その際に歯に強い負荷をかけすぎると、歯の炎症が大きくなり、壊す働きの方が強くなってしまうので歯根吸収が発生してしまいます。
対処法としては、矯正前に、歯根吸収のリスクがどれほどあるか診断(レントゲン撮影による画像診断など)してもらったうえで力のかけ具合を調整することが挙げられます。
ただし、通常は歯科矯正によって起こる歯根吸収はわずかです。
逆に力が弱すぎると歯が動かないという事態も考えられるので、歯科矯正では強すぎず、弱すぎず適切な力で歯を動かしていくことになります。
虫歯・歯周病のリスク
矯正治療の間は、矯正装置を装着する必要性があり、歯磨きをしにくくなったり、装置と歯の間に汚れがたまったりし、通常時より虫歯や歯周病などになりやすくなります。
虫歯や歯周病などになると、歯がもろくなったり、歯茎、歯根膜(しこんまく)、歯槽骨(歯槽骨)が破壊されたりするリスクがあります。
歯根膜とは歯の表面と歯槽骨の間を結び付ける組織で、歯槽骨とは歯を支える土台のことをいい、これらが破壊されると、最悪の場合には歯を失う恐れがあります。
歯肉退縮のリスク
歯肉退縮とは矯正治療によって歯茎が下がることを言います。
特に日本人は、生まれつき歯肉・骨が薄く歯を動かせる範囲が少ないため欧米人などと比較してこの歯肉退縮のリスクは高くなっています。
歯肉退縮では、歯茎が下がっているため歯が長く見えてしまったり、歯と歯の間にすき間ができてしまったり見た目の問題が生じてしまいます。また、知覚過敏といった問題も生じることがあります。
原因としては、歯周病・歯槽骨の薄さ・口腔内の不衛生・過度なブラッシングなどが考えられます。
対処法としては、適切に歯周ポケットをクリーニングすることが挙げられます。ただし、先述のとおり、矯正治療中は歯磨きが難しくなります。セルフケアだけでは対処できない場合があるので、担当医に相談するとよいでしょう。
金属アレルギーの場合
矯正装置の中でも、ワイヤー矯正で使用する装置には金属製のワイヤーを使用することが多いです。
そのため、金属アレルギーを持っている患者の方はなかなかワイヤー矯正を選択しにくかったという状況がありました。
金属アレルギーとは、金属から溶け出したイオンに免疫細胞が反応することで起こります。
現在は、金属アレルギーを持っている方向けのワイヤー矯正装置が整ってきており、事前に担当医に伝えておけば、アレルギー反応が出にくい装置を使用できるので相談してみるとよいでしょう。
また、マウスピース矯正では金属を一切使用していないため、金属アレルギーが気になる人はマウスピース矯正を検討するのも良いでしょう。
後戻りのリスク
矯正治療には、矯正装置を使用して歯を動かす「動的治療」の期間と、リテーナーという装置を装着して歯を保定する「静的治療」の期間があります。
歯はいったん動的治療を経て動かしたとしても、治療前の場所に戻ろうとする働き(後戻り)があります。
そのため、矯正装置を用いて歯を動かした後、何もせずに放置すると、治療前の歯並びに再び戻ってしまうリスクがあります。
そこで静的治療の期間で動かした後の歯並びを維持していく必要性があります。
この期間を保定期間とも言い、これを経ることで新しい歯並びが定着していきます。
もしこの期間にサボったり、何らかのトラブルが生じたりすると先述のとおり後戻りのリスクが高くなるので、しっかりと指定された通りリテーナーを装着し、何かあれば担当医にすぐに相談するようにしましょう。
口内炎のリスク
矯正治療中はワイヤーなど、装置の一部が口内を傷つけてしまうことがあります。
頬の内側の粘膜や舌に当たると口内炎になり、ものが噛めないくらい痛むこともあります。
その際には、氷嚢を用いて冷やす、痛み止めを服用する、歯科用ワックスで保護するなどといった対処法が考えられます。
ただし、慢性的に痛みが続いたり、痛みの程度が激しかったりする場合は我慢せずに担当医に相談してください。
装置の調整などの処置により痛みが改善することがあります。
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リスクを減らすためにできること
歯科矯正には様々なリスクがあることを解説してきました。
ここからは、それらのリスクを事前に最小化するために気を付けたいことについて紹介します。
治療しやすい環境を選ぶ
矯正治療に臨むにあたって、トラブルの可能性はゼロとは言い切れません。
その際は、担当医に相談して適切な対応をとることで解決していくかと思います。
そのような場合に、担当の先生と話しやすいか否かは地味ですが重要な観点です。
話しにくい先生だとなかなか相談に踏み切れずに結果として取り返しのつかないことになる危険性があります。
また、先生との相性だけでなく通いやすい距離、雰囲気であるか否かもしっかり考慮しましょう。
事前の医院選びでリスクを低減させることができるといえるでしょう。そのため、医院選びは重要です。
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適切な治療方法を選ぶ
矯正治療には様々な治療方法があります。
例えば装置についてもワイヤー矯正とマウスピース矯正で異なりますし、ワイヤー矯正でも歯の表側に装置をつけるか、裏側につけるかなどといった観点で異なります。
さらに、部分矯正か全体矯正かも異なります。
その中からもしも不適切な治療法を選択してしまうと治療自体が失敗してしまうことがあります。
例えば、値段を抑えたいという理由で全体矯正が適切な症例に部分矯正で臨んだり、通院不要の格安マウスピース矯正に取り組んだ結果、異変に気づけなかったりすることが考えられます。
そのようなリスクを回避するためにしっかりとカウンセリングを受け、適切な治療方法を選択しましょう。
歯のクリーニング
先述のとおり、矯正治療を行っている最中は歯のケアが難しく、汚れがたまりやすい状況にあります。
虫歯・歯周病のリスクを下げるために定期的に歯科医院でクリーニングを受けるとよいでしょう。
口内環境が良ければ3か月に一回程度で構いませんが、口内環境が悪ければ悪いほど高頻度でのクリーニングが推奨されます。
歯科用ワックス・口内炎用の薬の使用
先述のとおり、口内炎のリスクを減らすために矯正用のワックスを装置に付けると良いでしょう。
歯科用のワックスはとれやすいのでこまめに塗るようにしてください。
また、口内炎を悪化させないための手段として薬の服用も考えられます。
薬には塗るタイプ、貼るタイプ、スプレータイプなどがあります。
口内炎の範囲が狭い場合は貼るタイプ、広い場合は塗るタイプやスプレータイプなどを使用するとよいでしょう。
また、痛みがひどい場合は装置の調整をしてもらうようにしましょう。
セルフケアを怠らない
上述した内容以外にも、しっかりと口内環境を整えるために自分でおこなえるケアがあります。
まずはワイヤー矯正の場合は、歯磨きだけでは磨き残しがあることがほとんどなので補助の清掃器具を使いましょう
。例えば、歯間ブラシや先端がL字をした小さな歯ブラシであるタフトブラシなどを適宜用いて、歯ブラシでは磨けない装置の隙間などを磨きましょう。
また、マウスピース矯正の場合は、しっかりとマウスピースを洗浄して清潔な状態を保ちましょう。
年齢による矯正治療のリスク
上述したリスク以外にも、年齢によって発生するリスクがあります。
特に2点、高齢での矯正治療には若い人と比較してリスクが大きくなる場合があります。
1点目は、歯周病のリスクです。歯周病は、年齢に応じて罹患している割合が高くなるため、高齢での矯正治療に臨む際には、事前に歯周病の治療が必要となる場合が若い人より多くなります。
2点目は、歯が動きにくくなることです。特に40代以降は歯を支える骨が硬くなっているため、歯を動かすのに大きな力を要します。そのため、痛みが大きくなることがあります。
ですが、高齢での矯正治療は、見た目が若くなったり、健康上のメリットがあったりするので上記のリスクに注意しておこなえば実り多いものになるはずです。
矯正治療を成功させるためには?
確かな技術を用いた歯科医師のもとで、非抜歯による矯正治療を受けることが重要となります。矯正治療はどこの歯科医院でも行える治療ではありません。専門の知識、技術を用いた歯科医師が在籍した医院を選択しましょう。
専門の知識、技術を用いた歯科医師を見極めるポイントの1つが、日本矯正歯科学会による称号です。
認定医・指導医・臨床指導医(旧専門医)と矯正治療における一定の条件を満たした歯科医師に与えられる称号であり、矯正歯科治療を行うエキスパートです。
まとめ
正しい歯列矯正を行っていない場合には、治療後に顎関節症や、頭痛などの身体の不調、口元の歪みを引き起こすリスクが高まるので、医院選びはとても大事です。
矯正治療の失敗リスクを減らすためにも、矯正医院選びは慎重に行う必要があります!
「一生に一度の矯正治療、失敗したくない!」「どこで治療するべきか迷っている」「矯正医院を選ぶ基準が分からない」という人は、ぜひデンタルジュにご相談ください!
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