気がつくと口が開いていること、ありませんか?出っ歯が原因で「口が閉じにくい」「日常的に口が開いている」といった場合、見た目だけでなく健康にも悪影響を及ぼすことがあります。
この記事では、出っ歯で口が閉じない場合の3つの改善法をご紹介します。あなたに合った治療方法を見つけて、出っ歯の改善だけでなく、最終的には自然に口を閉じられるようになりましょう。
出っ歯のせいで口が開いてしまうことがある?
出っ歯は歯科用語で「上顎前突(じょうがくぜんとつ)」と言われる不正歯列です。
上の前歯が前に突出している状態のことを指します。
この歯並びが原因で口が閉じにくくなり、常に口が開いたままになってしまうことがあります。以下にその理由を詳しく解説します。
前歯が前に出ている
上の前歯が前に出ているため、自然に口を閉じた際に上下の唇がしっかりと閉じられないことがあります。
このため、無意識のうちに口が開いてしまうことが多いです。
顎自体が前に出ている
上顎と下顎の位置関係が通常よりもずれていることがあります。
このため、上下の顎が正しく噛み合わず、口が自然に開いたままになることがあります。
前歯と上顎どちらも突出している
上顎の突出と前歯の突出、両方同時に起こっているケースもあります。出っ歯の症例の多くが両方の要素がある方が多く、重度な状態になると口周辺の筋力だけでは唇を閉じることが難しくなり、口が開いたままになってしまいがちです。
唇の筋力不足
そもそも出っ歯は上唇が前歯の突出に対応して閉じるのが難しくなることから、唇の筋力が弱くなりやすい歯並びです。
そのため無理に閉じようとしても、閉じた状態を維持するのが困難なケースが多いです。
口呼吸の習慣
出っ歯の影響で口が閉じにくいと、自然呼吸は口呼吸が習慣化することがあります。
口呼吸が習慣になると、唇で前から押さえる力が働かないため、さらに口が開いてしまうことが多くなります。
口が開いてしまうデメリット
歯並びが悪くて口が開いてしまうと、口腔内だけでなく顔や身体に影響を及ぼすことがあります。
それらデメリットとなり得る主な例を7つご紹介します。
口腔衛衛生的問題
口が閉じないことで口腔内が乾燥しやすくなり、唾液の分泌が減少することがあります。
唾液は口腔内を清潔に保つ自浄作用や、細菌の繁殖を抑える働きがあります。そのため唾液が不足すると、虫歯や歯周病のリスクが高まります。
歯並びの問題
口が自然な呼吸時に閉じている場合、舌は上顎にくっつきます。この状態が正しい舌の位置です。
しかし口が開いていると、舌は下歯の裏あたりに下がっています。上顎が口唇で押されず、解放されていると前に突出しやすくなり、下顎は舌に押されて傾いてしまう可能性もあります。
発音の問題
出っ歯で口が閉じないと、息が漏れたり、口唇や舌が正しい動きがし辛く、発音がしづらくなることがあります。
特に、サ行やタ行、パ行などの音を発する際に問題が生じやすいです。
消化器官への負担
出っ歯は上下の前歯が噛み合わないことが多く、また、口が閉じないことから食べ物をしっかりと噛み砕くことや飲み込むことが難しくなるため、消化が不十分となり、胃や腸に負担がかかります。
顔のバランスの崩れ
口が閉じずに開いたままになっていると、顔の筋肉や骨の発達に影響を及ぼし、顔のバランスが崩れることがあります。
よくあるのが「梅干しジワ」です。下唇を持ち上げて無理に閉じようとするので、オトガイ筋に過度な緊張が起こり、梅干しのような丸いシワが目立つことがあります。
病気になりやすい
口が閉じにくく開いたままになっていると、自然な呼吸は主に口で行うようになります。本来自然な呼吸は鼻から行います。
鼻には菌やウイルスが侵入した際に食い止めるフィルターのような役割がありますが口にはないため、ウイルスが体内に侵入しやすくなり、風邪やインフルエンザにかかりやすくなったり、鼻炎体質になってしまうことがあります。
心理的な影響
口が開いたままの願望は、「ぼーっ」としているように見得ることがあります。筋肉がゆるいので、顔が面長に見えることもあります。
見た目の問題から自信を失ったり、対人関係での不安を感じることがあるかもしれません。
睡眠時の問題
口が閉じないことで、口呼吸になりやすくなります。口呼吸は睡眠の質を低下させ、いびきや睡眠時無呼吸症候群のリスクを高める要因になることがあります。
出っ歯で口が閉じない場合の3つの改善法
出っ歯を改善するための治療方法をご紹介します。治療方法は個々のケースにより異なるため、歯科医師との相談が必要です。
1:歯列矯正治療
ブラケット(ワイヤー矯正)
歯にブラケットを取り付け、ワイヤーで歯を引っ張り、徐々に正しい位置に移動させます。最も一般的な矯正方法です。
マウスピース矯正(インビザラインなど)
透明なマウスピースを使用して歯を移動させる方法で、最近人気の矯正方法です。薄く透明な装置で、治療中であることが目立たないため、ワイヤー矯正に抵抗がある人や、人前に出る機会が多い人にお勧めです。
インプラント矯正
小さなスクリューを顎の骨に埋め込み、それを固定点として歯を移動させます。通常の矯正治療を補助するために使用されます。
外科矯正
重度の出っ歯の場合、顎の骨の位置を調整するための外科手術が行われることがあります。この方法は、矯正治療と併用することがほとんどです。顎の手術の後に、ワイヤー矯正等で歯列の乱れを整えます。
2:人工歯によるクイック矯正
ラミネートベニア
歯の表面に薄いセラミックを貼り付けて、見た目を改善する方法です。軽度の出っ歯や見た目の改善に適しています。
セラミッククラウン
歯を全体的に細く削って、セラミックでできたクラウンを被せる際に大きさや位置を調整して凹凸を改善することも可能です。
ただし噛み合わせの位置は変わらないため、ラミネートベニア同様、軽度なずれの改善に適しています。
無理に行うと噛み合わせがさらに悪くなったり、当たりが強い部分のセラミックが破損する可能性もあります。
3:鼻炎治療
これは「鼻炎によって口呼吸が慢性化している方に限りですが「口を閉じたくても鼻が詰まっているので閉じられない」ということもあります。
唇を閉じていることと内側から舌で押されていることで、歯列が保たれているということもあり、口が開いていると歯は前に出やすくなります。
いくら歯列矯正で出っ歯を治療しても、口が開いたままでは後戻りしやすくなります。
慢性的な鼻炎がある場合は、同時進行で鼻炎治療も行うのもおすすめです。
治療の選択方法はどうする?
治療方法の選択は、以下の要因によって変わります。
出っ歯の程度
出っ歯は、前歯の歯並びだけが前に出ているもの(歯性)と、上顎が大きく前に出ているもの(骨格性)があります。
適切な方法でないと、治療をしても後戻りしたり、装置が破損したりと、治療の失敗につながる恐れがあります。
歯や顎の健康状態
年齢ごとに決まった治療があるというわけではありませんが、その治療に耐えられる体力や歯や周辺組織が健康であるかどうかなどが関係してくることがあります。どのような治療方法が適しているのか、お口の健康状態も加味して担当歯科医師と相談しましょう。
美観の希望
出っ歯の場合はワイヤー矯正が歯の表面に付くと唇が余計に閉じにくくなる時期もあり、装置が目立ちやすいというデメリットは感じる方もいるのではないでしょうか。
見た目的に「装置が目立つ」ということに抵抗がある場合には、マウスピース矯正や、ワイヤー矯正の中でも白・透明な装置を選択する、裏側矯正にするという方法もあります。
予算
さまざまな要素を加味して、自信が最適な方法を選択できるのが一番です。
しかし、歯列矯正は保険適応外になることがほとんどなため、高額な治療費になります。
そこで、予算も加味して選択するということを考える方も多いでしょう。
装置別では、金属の表側矯正が一番スタンダードな費用となり、白や透明のブラケット・ワイヤーを選択したり、マウスピース矯正にすると少し費用が上がる傾向があります。
裏側矯正は特殊な技術を必要とするため、さらに費用が上がります。
出っ歯矯正の費用相場
出っ歯矯正の費用相場は、治療の内容や地域によって異なりますが、一般的には以下のような価格帯が考えられます。
メタルブラケット矯正
費用相場:70万~100万円程度
最も一般的ですが、見た目が気になることがデメリットと感じる場合があります。
セラミックブラケット矯正
費用相場::90万~110万円程度
歯と似た色のブラケットで見た目が自然ですが、メタルよりも費用が高くなります。
リンガルブラケット矯正(裏側矯正)
費用相場: 100万~150万円程度
歯の裏側にブラケットを装着するため外から見えにくいですが、費用が高くなる傾向があります。
インビザライン(マウスピース矯正)
費用相場: 90万~120万円程度
取り外し可能で目立たない透明なマウスピースを使用しますが、ケースによっては適用できないことがあります。
部分矯正
費用相場:30万~60万円程度
歯並びだけが問題になって起こっている出っ歯(骨格はずれていない)など一部の歯を対象とした矯正で、治療期間が短く、費用も抑えられます。
外科矯正
外科矯正の費用は、一般的な矯正治療に加えて外科手術が必要となるため、通常の矯正治療よりも高額になります。以下に、外科矯正の費用相場を示します。
外科手術の費用相場:100万~300万円程度
外科手術には、あごの骨を切る手術や骨を移動させる手術が含まれます。手術の複雑さや病院の設備によって費用が異なります。
矯正治療の費用相場::70万~150万円程度
手術前後の矯正装置の費用や定期的な調整費用が含まれます。
合計費用::170万~450万円程度
手術の難易度や地域、治療を受ける施設によって総費用が大きく異なることがあります。
一部の外科矯正治療が保険適用となる場合があります。保険適用となるかどうかは、治療の内容や患者の状態によって異なります。
保険適用となる場合、自己負担額は上記相場費用よりも減少する可能性があります。
出っ歯を自力で治療するのは危険
出っ歯を自力で治すことは非常に危険です。自己流での矯正は、以下のようなリスクや問題を引き起こす可能性があります。
不正確な力のかけ方をしてしまう
専門的な知識がないままに力をかけると、歯や歯茎、顎の骨に過度のストレスを与えてしまい、歯が折れたり、歯茎が損傷したりする可能性があります。
誤った矯正方法を行ってしまう
矯正治療は、個々の患者の歯並びや顎の状態を詳しく診断した上で計画されるべきです。
専門家の診断なしでは、正しい治療計画を立てることができません。インターネットや自己流で得た方法が正しくない場合、歯並びや咬み合わせがさらに悪化する可能性があります。
持続的なダメージを被る
不適切な力が長期間にわたって加わると、歯根の吸収(歯根の先が短くなること)や歯の動揺(歯がぐらぐらすること)が起こる可能性があります。
感染のリスク
不適切な道具や方法で歯や歯茎を触ることで、口腔内に感染を引き起こすリスクが高まります。
まずは歯医者に相談するのがおすすめ
まずは、やはり専門家に相談することが望ましいです。かかりつけの歯医者でも良いですし、矯正治療を専門的に行う医院もありますので、矯正相談の予約を取り、専門家に相談してみるのも良いでしょう。
矯正治療は専門的な知識と技術が必要です。自己流での治療は避け、専門家の指導のもとで安全かつ効果的な治療を受けることが重要です。
まとめ
出っ歯で口が閉じない場合、矯正治療、外科手術、またはラミネートベニアやセラミッククラウンなどの審美的なアプローチ、鼻炎治療などが考えられます。
専門家と相談し、自分に合った治療方法を選ぶことが大切です。自己流での治療はリスクが高いため、必ず歯科医の診断と指導を受けましょう。
正しい治療で健康と見た目の両方を改善し、自然に口を閉じられるようにしましょう。