インビザラインは、従来行われてきたワイヤー矯正のデメリットとなっていた「見た目」「痛み」などを解消し、矯正治療に抵抗があった人たちも矯正治療に積極的に取り組むきっかけにもなり得る装置として注目されています。
反面、メリットばかりを目にしていると、インビザライン治療を受けたことを後悔することになる可能性もあります。そこで今回はインビザラインを利用する際に後悔する原因と、それを避けるためのポイントについて以下にまとめます。
デンタルジュではこれまで、2000件を超えるユーザー様の「矯正に関するお悩み」にお答えしてきました。
歯科医院選びには「自身に適した治療方法であるか」はとても重要な項目のひとつです。
歯科知識のあるコンシェルジュが懇切丁寧にお悩みを伺い、ここに最適と思われる治療方法を選択するためのご相談にも応じています。歯列矯正治療をしたいが装置を迷っているという方は、ぜひ参考にしてください。
インビザライン治療で後悔する原因
インビザライン治療を開始する人は、インビザラインのメリットとされる「目立ちにくさ」「痛みの軽さ」「取り外しできる」といった手軽さを重視し選択していることが多いでしょう。
なのになぜ「後悔」することになってしまうのか。その原因をいくつかご紹介します。
矯正装置の装着時間が長くて大変
インビザラインで計画通りに治療を進めるためには、1日20時間以上装着しておくことが必要となります。
食事と歯磨きの間だけ外すというイメージです。
自身で取り外し可能な装置ですが、外している時間が長くなると、計画通りに歯が動かず、治療が長引く要因となってしまうため、就寝時間も含め、ほぼ1日中付けたままになります。
思っていたよりも付けたままで過ごす時間が長いということを、大変だと感じる方もいるようです。
思ったより歯を削った
インビザラインは基本「抜歯なし」で行う治療とされています。
ただし、スペース不足がある場合には、歯を全体的に少しずつ削ってスペースを生み出す「IPR法」という処置を行います。
抜歯はせずに矯正治療を受けることはできますが、健康な天然歯の歯質を削ることになるのはデメリットになると感じる方もいるでしょう。
効果が出にくい
インビザラインはさまざまなタイプがあり、歯並びの度合いに合わせて歯科医師から提案があります。
歯並びの状態によっては、全体矯正できるインビザラインであっても難しい症例もあります。
その診断がきちんとできる歯科医師の治療を受けていないと、思ったように歯が動かないといった結果になってしまうことがあります。
もしくは、適切な交換時期に交換をしなかったり、受診時期になっても受診を怠ったりすることがあれば、なかなか効果が出ずに後悔する結果になってしまうことがあります。
理想の仕上がりと違った
インビザラインは治療前にデジタルで歯並びが整うまでをシミュレーションした画像を確認することができます。
そのため「こんなに綺麗になるんだ!」と期待することができ、治療のモチベーションアップにも繋がるのですが、さまざまな要因から、治療結果が期待に達しない場合に「理想の仕上がりと違う」ということのギャップを感じる可能性があります。
歯茎が下がった
インビザラインに限らずですが、歯列矯正で歯が大きく移動することやアライナーによって不要な圧力がかかってしまうと、歯茎が下がってしまうことがあります。
また、インビザラインの清掃や管理を怠り口腔環境が不衛生だと、虫歯や歯周病を発症してしまい、歯茎下がりの原因になることがあります。
噛み合わせが悪くなった
歯並びは「並び」だけではなく、上下左右噛み合うべき部分で噛んでいないと、噛み合わせが強い部分や噛めていない部分が生じることがあります。
インビザラインの部分矯正を行った場合などに起こる可能性があることですが、前歯の並びだけを整えた場合、整える前よりも噛めなくなってしまったといった事例もあります。
歯列矯正を行う際は、噛み合わせも含めて正しい位置に歯並びを整える計画で治療を行わないと、治療前よりも噛み合わせが悪くなってしまうこともあります。
矯正治療中に虫歯や歯周病になった
インビザラインは取り外して食事をしますので、食後は歯磨きをしてからアライナーをはめることが原則です。
しかし、なかなか歯磨きできない状況にある方が、食後そのまま装着をくり返していると、装置の中で菌が増殖し、虫歯や歯周病になってしまう可能性があります。
自己管理が苦手な方や、日中歯磨きできる状況にない方は「ワイヤー矯正の方がよかったかも」と公開されることになるかもしれません。
治療中の不快感
「見た目がわかりにくい」「取り外しができる」というメリットからインビザラインを選択したはずが、アライナーの装着による違和感や痛み、話しづらさから外している時間が長くなり、計画通りに治療が進まないという方もいます。
また、食事や飲み物の制限もあるので、煩わしさを感じる方もいらっしゃるかもしれません。
後戻りが起こった
インビザラインによる動的治療期間終了後しばらくは、動いた位置に歯が安定するまで「保定装置」としてのアライナーを装着します。
装着を怠ると歯並びが後戻りを起こしてしまうことがあります。
後悔しないためのポイント
では次に、インビザライン治療で後悔しないためのポイントを以下にご紹介します。
また、後悔しない治療を受けていただけるよう、デンタルジュにご相談いただいたユーザー様へ行っているアドバイスをご紹介します。
歯科医院選びのためのリサーチを入念に行う
「歯科医院の数は、コンビニの数よりも多い」と言われます。矯正歯科を行う医院全てがインビザラインを導入しているわけではありません。
また、インビザラインは開発した、アライン社の独自システムに関するセミナーを受講し、システムを導入していれば、どの歯科医院でも治療を行うことができます。
ですから「矯正歯科」という標榜があっても、その医院が矯正治療にどれくらい治療を入れているのか、専門性の高い治療を受けることができるのかは分かりにくいところもあります。
まず、インビザラインをご希望の場合は「取扱いがあるか」を確認するのはもちろん、インビザラインを行う歯科医師の専門性の高さや実績、評判などを事前にリサーチして医院を選ぶのもお勧めです。
===デンタルジュ===
デンタルジュでは「事前調査」に役立つ初回のカウンセリングを受けるにあたり、ユーザーごとに違う個々のお悩みやご希望に応じて、受診に最適な医院をお探ししご提案しています。そのため、受診後に「思っていたのと違う」と感じる機会を減らすことができます。
初診相談を十分納得いくまで行う
希望の医院でカウンセリングを受け、歯科医師としっかり相談し、自分の歯並びの状態に最適な治療法かどうか確認しておきましょう。
医院選びには、他の患者の体験談や口コミも参考になりますが、歯並びの状態は個々に異なるため、一番はやはり「自分で体感すること」です。
実際に歯科医院へ足を運び、診療方針はもちろん、医院の雰囲気や通いやすさなども確認しておきましょう。
===デンタルジュ===
医院の雰囲気や治療方法、詳しい費用や支払い方法などは、実際に足を運ばないと分からないことが大部分です。
ホームページには概要しか記載していない医院も多いのですが、実際、個々に歯並びの状況が異なるため、詳しい内容を掲載できないというのも実情です。
そこで、デンタルジュが最適と思われる医院をご案内するのですが、実際に来院してみると「思っていたのと違った」「ホームページの費用ではできない症例だった」といった認識していたこととのズレが起こることもあります。
その際には、新たに医院をお探ししご提案を行っています。
インビザラインで治療できる症例か確認する
インビザラインは重度の歯並びには適していない場合もあります。インビザライン治療の限界や、治療期間、予想される不具合など「デメリット」も十分理解しておきましょう。
また、精密検査を受けた場合には、治療計画や予想される結果についても具体的に話し合い、治療期間や費用なども具体的に確認しておきましょう。
===デンタルジュ===
デンタルジュでは、医院選びの前に「歯並びの状態やお悩み」をお伺いしています。
歯科知識のあるスタッフがお話をお伺いし、インビザラインだけで治療できないかもしれない症状である場合には、他の選択肢やインビザラインと他の治療方法も検討できるよう、医院をご提案することもあります。
費用形態をリサーチしておく
治療にかかる総費用を事前にしっかり確認しておきましょう。インビザラインはトータルフィー(総額制)にしている医院もありますが、毎回受診するごとに「調整料」が必要となる医院もあります。
また、分割支払いできるのか、回数は何回まで可能か、院内分割なのかデンタルローンなのかなど、支払いプランも医院によって違います。希望の支払い方法がある場合は、導入医院を探す必要があります。
===デンタルジュ===
費用形態や支払い方法の選択肢は医院によってさまざまです。
特に認識の相違がないようにカウンセリングの際に詳しくお話になる医院が多く、まずはカウンセリングを受けていただくことをお勧めしています。
デンタルジュの医院選定でも細かな支払い方法に合わせての医院選びはできませんが、医院候補の中からご希望に近い医院をいくつかご提案するようにしています。
日常生活での適応が可能か検討しておく
アライナーと言われるマウスピースは20時間以上装着することで計画通りに治療を行うことができるとされています。
取り外しができるマウスピース矯正は、日常生活の中で着脱の機会もあり、管理は自身で行います。
装着時間を守らないと、装置に慣れるのにも時間がかかったり、計画通りに歯が動かないといった不具合を起こすこともあることから、日常生活での適応度がとても重要です。
===デンタルジュ===
デンタルジュではヒアリング時に装置のご希望をお伺いしますが、歯並びやライフスタイルをお伺いした際に、状況に応じてマウスピース以外の装置についてもご紹介することがあります。
ご自身のライフスタイルに合っているかどうかも事前に確認した上でカウンセリングを受けると、より装置選択の際に具体的に検討することができます。
マウスピースや口腔内を清潔に保つ
インビザラインはワイヤーと違って装置の取り外しができます。これはメリットにもなり得れば、デメリットに働いてしまうこともあります。
例えば、装置を洗浄しないまま口腔内に入れていたり、食後に歯磨きしないまま再装着を繰り返していると、装置や口腔内は不衛生になってしまいます。それが原因で虫歯や歯周病を発症してしまえば、虫歯治療・歯周病治療が優先され、治療期間も長くなる可能性もあります。
取り外しができるからこそ、装置を清潔に管理し、口腔内の清掃をしっかり行うことが必要です。
リテーナーを指示通り装着する
インビザラインは治療期間(歯を動かす期間)が終わった後も、歯並びの後戻りを予防するための「リテーナー」としてマウスピースを継続して装着する期間を設けます。
しかし中には動かす期間が終わったことで=治療が終わったと勘違いされる方がいます。
取り外しのできないワイヤー矯正よりもリテーナーがさほど変わり映えしないこともあり、動的治療の必要がないのであればと、装置を外しておく時間が長くなる人もいるのです。
そうなると歯並びは「後戻り」を起こしやすくなります。少しでも歯が動いてしまうと、リテーナーが嵌まらなくなることもあり、さらに「日常的に入れていない」ということになってしまうこともあります。
動的治療後のリテーナーは歯科医師の指示に従って装着することが、治療後の後悔を予防することに繋がります。
これらのポイントを押さえておくことで、インビザライン治療における「後悔」を減らし、治療に対する「満足度」を高めることにつながるでしょう。
インビザラインはメリットも多い
インビザラインはメリットの多い矯正治療方法ですから、後悔する事ばかりではないのでご安心ください。
また、数あるマウスピース矯正の中でも「インビザライン」だからこそのメリットと言えることもあります。そこで次は「インビザラインのメリット」についてご紹介します。
マウスピース矯正の中では最も治療実績が豊富
インビザラインはマウスピース矯正発祥のアメリカ「アライン社」のブランドです。数あるマウスピース矯正の中でも世界シェア率No. 1と言われる治療実績を誇り、さまざまな症例にも対応できる装置として進化しています。
一昔前のマウスピース矯正といえば「軽症例に適応」というイメージでした。
実際今でも複雑な症例には適応できないマウスピース矯正が多い中、インビザラインは奥歯も含めた全歯列を動かすことができ、比較的どのような歯並びにでも対応できる装置として、矯正専門の歯科医師も導入する装置として取扱が増えています。
インビザラインに対応している歯医者が多い
前項で解説した理由により、インビザラインは幅広く歯科医院に導入されている装置となっています。
また、マウスピース自体が軽度な症例から重度な症例、また交換期の小児から中高生に適したタイプなどのラインナップがあり、症例に合わせたプランを選択することもできます。
そのため、マウスピース矯正といえばインビザラインと言われるほど、対応している医院は多いマウスピース矯正です。
透明で目立ちにくい
マウスピース矯正は歯列全体を覆うような形状になっており、透明で柔らかく薄い素材でできています。
そのため、矯正治療中であることがわかりにくく、ワイヤー矯正に抵抗がある方や、人前に出る機会の多い方にお勧めの矯正方法です。
特にインビザラインは歯茎の部分を覆う部分が少なく、他のマウスピース矯正に比べて違和感も少ないと感じる方が多いようです。
矯正装置を自分で取り外しできる
これはマウスピース矯正全般に言えるメリットでもありますが、インビザラインはマウスピース型のため取り外しができます。
取り外せないワイヤー矯正は、食事の際の食べづらさや食材の選択をしないといけないこと、また歯磨きがしにくいことなどを懸念する方もいらっしゃいます。マウスピース型のインビザラインであれば、食事の際や歯磨きの際には取り外して行えますので、治療前と変わらずお過ごしいただくことができます。
また、短時間にはなりますが、大事な場面で一時的に取り外すこともできます。例えば面接時や結婚式の時など、治療期間中に一時的に外したい予定がある方などにはお勧めです。
口内を清潔に保ちやすい
これもまた取り外すことができることによるメリットですが、歯磨きのしやすさから、口腔内を常に清潔に保つことができます。ワイヤー矯正では取り外せないため、通常の歯磨きでは磨き残しが起きてしまいます。
インビザラインは取り外して食事し、再装着前に歯磨きを行います。ワイヤーが邪魔をすることもなく、これまでと同じように歯磨きができますし、細部を磨くのも装置を気にして磨くこともありません。そのため、口腔内を清潔に保つことができます。
比較的痛みも小さい
ワイヤー矯正はワイヤーの引っ張る力を利用して歯を動かしますが、その際の負荷や、動いた歯の周辺組織の破壊から、痛みを感じると考えられています。インビザラインを含むマウスピース矯正は、歯を動かしたい位置へ「押す」作用で歯を動かします。
また、ワイヤーよりも動かし方もゆっくりで負荷も少なくなることから、ワイヤー矯正よりも痛みを感じにくいという方が多いようです。
比較的通院頻度が少ない
ワイヤー矯正の場合は、歯を動かすために、1ヶ月に1回のペースで装置の調整が必要です。
インビザラインは2、3週間に1回マウスピースの交換を行いますが、自身で行います。
通院頻度は歯並びやお口の状況によりますが、状況の確認や口腔内環境のチェックなどを行うために、2、3ヶ月に1度の通院で良いというケースも多くあります。そのため、ワイヤー矯正に比べて比較的通院頻度は少なくなる傾向です。
まとめ
インビザライン治療は「目立ちにくさ」「痛みの軽さ」「取り外し可能」といった多くのメリットがありますが、これらだけに注目して治療を始めると、後悔する原因にもなり得ます。後悔しないためには、事前調査と相談を十分に行い、自分の歯並びに適した治療法かどうか確認することが大切です。
インビザラインには多くのメリットがありますので、これらのポイントを押さえておくことで、インビザライン治療に対する満足度を高めることができるでしょう。