「インビザラインで出っ歯は治せるの?」
「インビザラインで歯列矯正すると出っ歯になるって本当?」
インビザラインで歯列矯正をご検討の方から、このようなお悩みをよくお伺いします。マウスピース矯正自体が「簡易的な治療」というイメージがあるためか、インビザラインで出っ歯が治るのかどうかや、インビザラインでは余計に出っ歯が目立ってしまうのでは?という不安を持たれる方が多いようなのです。
そこで今回は、インビザラインで治せる出っ歯と治せない出っ歯の違いや、治療方法について解説します。出っ歯の治療をしたくて矯正治療の方法を迷われている方はぜひ参考にお読みください。
インビザラインで出っ歯は治療できる?
「マウスピース矯正では治療できない症状がある」と耳にする方もいらっしゃると思います。
確かにマウスピース矯正は、複雑な歯並びを整えることは難しいこともありますが、ことインビザラインに関しては奥歯を含め全体的に動かすことができることから、出っ歯はもちろん、比較的どのような歯並びでも治療することができます。
ただし、先ほども少しお話したように、できない症例があることも確かです。
インビザラインはワイヤーとは異なる力のかけ方で歯を動かします。
その違いで、出っ歯のタイプによっては、治すのが難しい場合も確かにあります。
そこで、インビザラインで治療できる出っ歯と、できない可能性がある出っ歯を詳しく解説します。
出っ歯には3タイプあります
出っ歯には以下のような3タイプに分かれます。
①前歯が突出している
他の歯列に比べて、前歯だけが突出していたり、斜めや前方に傾いて生えてしまっているタイプです。顎の形状が細い(狭い)ことから、前歯が他の歯よりも前方に押し出されてこのような歯並びになることが多いです。
②骨格が前突している
上顎が横が細く前に突出した形状(U字もしくはV字)に成長してしまい、上顎が下顎に比べて大きく前方に突出しているタイプです。顎の成長が弱くこのような形状に成長してしまうことから起こります。
③歯と骨格両方が前突している
骨格形成時期に成長が弱いことと、前歯の突出両方が起こっているタイプです。骨格が前突した形状になると、口が閉じにくくなったり、口輪筋の発達が弱かったりが相まって、歯が斜めに突出して生えてしまったりと、歯並びも悪くなりやすい傾向があります。
タイプによって、インビザラインで治療できる出っ歯とできない可能性がある出っ歯があります。それぞれについても詳しく解説します。
なぜ「出っ歯」になるのか
そもそもなぜ出っ歯が起こるのか、その原因を知って、ご自身の「出っ歯」はどのようなタイプかを分析できていると、インビザラインで治療できるのか否かがわかりやすくなります。
顎骨の位置がずれていることが原因
顎の骨自体がずれている骨格性の出っ歯は、上顎の骨と下顎の骨の角度に大きく差があることで起こります。上顎の方が大きく突出しているか、下顎が大きく後退している状態です。顎の成長度合いが極端に怒ってしまったことで起こります。
歯が内側や外側に傾斜していることが原因
顎の形状ではなく、歯自体の傾斜が内側や外側に傾いて起こります。上顎と下顎の角度の差はほとんどない状態で歯の角度の問題です。上顎の歯が外側に傾斜している「唇側傾斜」、下顎の前歯が内側に傾斜することで上顎の歯列が目立つ「舌側傾斜」、また、唇側傾斜と舌側傾斜どちらも起こっているケースもあります。
骨の位置がずれていることに加えて歯が傾斜していることが原因
骨格性の上顎前突と、歯槽性(上記した2タイプ)が混合している出っ歯です。顎の位置がずれている上に前歯の傾斜もある、重度の出っ歯といわれる症例です。
インビザラインで治療できる出っ歯
出っ歯の3タイプのうち、インビザラインで治療するのを得意とする出っ歯は、①の「前歯が突出しているタイプ」です。
傾斜してしまっている前歯の角度を矯正したり、歯列から出てしまっている位置を正しい歯列の位置に整えることで、突出感を解消します。
また、軽度であれば、骨格のズレのある出っ歯もインビザラインで治療できるケースがあります。
その場合は、歯列を奥歯も含め全体的に動かすことが必要になってくるため、歯を少しずつ削る(PPR法)か、抜歯を行うなどして、移動スペースを確保する施術が必要になることが多いです。
インビザラインで治療できない可能性がある出っ歯
重度の「骨格性」の出っ歯の場合はインビザラインで治療できない可能性が高くなります。
インビザラインは歯を押して圧力をかけて動かす方法で、骨格を大きく動かすことができません。
そのため、骨格が関係している出っ歯の場合は、顎の骨を矯正するための外科手術が必要となることもあり、インビザラインの動的治療だけでは適応が難しいという診断になることがあります。
また、抜歯を行わないとスペース確保できないほど顎が狭く突出感もある場合は、インビザラインによる歯の移動だけでは並びきれないという場合もあります。
インビザライン矯正で対応できない出っ歯の治し方とは?
骨格が大幅に突出しているような重度の出っ歯や、歯の大きな移動が必要な出っ歯の場合は、インビザラインのみでの治療が難しい場合があります。そのようなケースの場合に、どのような治療を行うのか、以下に治療法を解説します。
外科手術
顎の骨が大きすぎる「骨格性」といわれる出っ歯の場合には、インビザラインによる動的治療と併用して、顎の骨を整形する「外科手術」を行うことがあります。
ただし一般的に外科手術を伴う矯正治療の場合はワイヤー矯正と併用するため、インビザラインによる動的治療との併用が可能かどうかは、事前に歯科医師に相談しましょう。
アンカースクリュー
歯ぐきに小さなインプラントを埋め込み、それを固定源とした動きを入れることで、インビザラインだけでは難しい歯の移動を可能にする方法です。
アンカースクリューを導入すれば、前歯のみを後方に移動させたり、奥歯を後方に移動させたりすることができます。
複雑な歯の動きが可能となりますので、インビザラインだけでは動かせない症例に対応することができます。
ヘッドギア
口の中ではなく、頭から口にかけて装着する矯正装置です。
上の奥歯に付けた装置と頭に付けたキャップを結んだ構造で、歯と顎の両方に力をかけて後方移動を促す装置です。「顎外固定装置」ともいわれます。アンカースクリューができない、顎の成長過程である若年層に用いられます。
バイオネーター
マウスピースとワイヤーでできた取り外しができる矯正装置です。噛む力を利用して、下顎が前方へ成長するのを促します。顎の成長を利用して動かす装置のため、7歳〜12歳頃が適応年齢となります。
インビザライン矯正で抜歯は必要?
先ほどの「インビザラインで治療できる出っ歯」「インビザラインで治療できない可能性がある出っ歯」にもあったように、インビザライン矯正は基本的に歯を「押す」ことで動かします。
そのため、並ぶスペースがないと、思うように歯が動きません。これはワイヤー矯正でも言えることですが、顎が狭い場合は顎を広げるか、それが難しい場合にはスペースを確保するために抜歯を行うこともあります。
ただ最近では、抜歯をせずに矯正治療を行うケースもあるため、抜歯の有無の基本的な違いを解説します。
抜歯を行う場合
インビザライン矯正を行う際に「抜歯が必要となるケース」は主に以下の3つです。
①重度のスペース不足
出っ歯の度合いが重度の場合は、抜歯の可能性が高くなります。歯並びだけでなく、前突感を解消するためには、全体的に上の歯列を下げなければならないため、大きな移動が必要になり、それだけのスペースが抜歯無しでは難しいことが多いためです。一般的には犬歯の後ろにある第1小臼歯を上下左右で4本抜歯対象にします。
②親知らずが歯並びに影響を与える可能性がある
親知らずの生え方が真っ直ぐでなく、手前の歯を押していたり歯茎の中に埋まっていたりする状況の場合、矯正治療中や治療後の歯並びい影響を与える可能性があるため、抜歯することが多いです。
③重度の虫歯や歯周病の歯がある
虫歯や歯周病がある方は、矯正治療開始前に治療を終わらせておくことは基本です。もしも重度の虫歯や歯周病で残すことが難しい、もしくは治療しても矯正で歯を動かすことに耐えられないであろうと診断された歯は、事前に抜歯することがあります。
抜歯を行わない場合
出っ歯の度合いが比較的軽度で、歯並びを整えたら突出感が解消される場合は、抜歯を行わずに行います。
もしくは、歯の両側を少しずつ削り、歯を動かすために必要なスペースを作る処置(IPR法)を行えば、抜歯しなくてもスペースが十分確保できると診断された場合は、抜歯をせず矯正治療を行います。
また、親知らずがあったとしても、正しい方向で虫歯や歯周病もなく生えている場合には、抜歯を行わずに矯正治療できます。
インビザラインで横顔は綺麗になる?
矯正治療では、歯の「並び」だけを揃えるのではなく、噛み合わせが正しい位置であることや「Eライン」と呼ばれる横顔の美しさの基準を指標とすることがあります。
出っ歯を治療することで上顎の口元が下がり、整ったEラインになったと感じる方もいらっしゃるようです。
また、口元が引っ込むだけで相対的に鼻が高くなったように見えたり、ほうれい線が薄くなったことを実感するという方もいます。
Eラインとは何?
Eラインは、エステティックライン(esthetic line)の略称で、アメリカの歯科矯正医師ロバート・ケリッツが提唱した横顔の美しさの基準のひとつです。顔を横から見た時、花咲と顎の最も突き出た部分(オトガイ点)を結んだラインが一直線になるのが一番美しいとされています。
また、口先はEラインの内側にあるのが理想的とされており、口元がラインよりも出ていると「出っ歯」、顎が前に出過ぎていると「しゃくれ」などと言われる顔貌です。
横顔美人になる基準とは
欧米人と日本人ではそもそも骨格が違い、日本人は鼻が低く下顎も後方にある傾向があるので、欧米人のようなEラインにするのが難しいということはあります。
そのため日本人の場合は、口先がEラインよりも内側にあるというよりも、Eライン上にあるくらいの状態の方が理想的とされることが多いようです。
インビザライン矯正のメリット
次に、インビザラインのメリットをご紹介します。
インビザラインで出っ歯の治療ができるとなれば装置選択の幅が広がりますので、メリットを参考に、自身にとって最適な治療方法かどうか検討してみてください。
矯正装置が目立ちにくい
インビザラインはワイヤー矯正に比べて目立ちにくいというメリットがあります。
透明で薄い素材で歯列全体を覆うので、装置を着けていることにほとんど気づかれることがありません。
お子様はワイヤーをしていて同年代の子にからかわれることを心配したり、成人の方は仕事で人前に出る機会が多い方が見た目を懸念される方にはおすすめの治療方法です。
口内ケアがしやすい
インビザラインは矯正治療期間中の口内ケアがしやすい装置です。
ブラケットワイヤー矯正は取り外せないことで装置が邪魔になって歯ブラシの毛先が届きにくく、汚れが残りやすくなります。
しかし、インビザラインは自身で取り外しできるため、従来通りに歯磨きすることができます。
また、約2週間ごとに新しいマウスピースと交換するため衛生的で、虫歯や歯周病のリスクを高めることなく口内を清潔に維持することができます。
治療のゴールをイメージしやすい
インビザラインは、治療開始前に、自身の歯並びがどのように移動して最終的にどのような歯並びの仕上がりになるのか、3Dシミュレーション画像で実際にイメージすることができます。
また、治療期間も分かりやすくなり、治療へのモチベーション維持がしやすくなります。
痛みが少なくお口にも優しい
インビザラインはワイヤー矯正に比べて、痛みが少ないと感じる方が多いようです。
矯正治療で感じる「痛み」は、歯を動かすためにワイヤーを調整して力を加える時にかかる力によるものとされていますが、インビザラインはワイヤーとは違った力の加え方になるため、治療中の痛みが少ないと考えられます。
また、ワイヤー矯正のように金属や凹凸がないため口腔内を傷つけることなく、口内炎などの心配もありません。
重要なイベントの時に矯正装置を外せる
インビザラインは取り外しできることから、一時的に外すことができます。
結婚式や面接など、一世一代の重要なイベントの際に、一時的に外して臨むことができるというメリットがあります。
ただし、外している時間が長すぎると、矯正に支障を来たすことがあるので、外す時間は数時間に留めておきましょう。
金属アレルギーの心配がない
インビザラインは金属を一切使用していないので、金属アレルギーの方も安心して治療を受けていただけます。
また、アレルギーでない方が矯正治療中に用いた金属によって発症する心配もないので安心して治療に臨んでいただけます。
インビザライン矯正のデメリット
続いて、インビザラインのデメリットについても解説します。
ワイヤー矯正に比べて「目立ちにくさ」や「取り外せる」といったメリットが際立つインビザラインですが、中にはそれらもデメリットになってしまう人もいます。
メリットだけで矯正方法を決めてしまうのではなく、デメリットも加味した上で、自身に合っている治療方法かどうか検討することが大切です。
自己管理が必要
インビザラインは取り外しができるメリットがありますが、それが「デメリット」となってしまう可能性もあります。
1日の装着時間を守らなけれなならない
インビザラインは1日に20時間以上の装着が必要です。食後につけ忘れたり、違和感があるから外してしまうなど、規定の装着時間を守れない場合は、計画通りに歯が動かない事態を招く恐れがあります。
食後の歯磨きの徹底
食後は必ず歯磨きをしてから再装着します。磨かないまま装着することを繰り返していると、虫歯や歯周病のリスクを高めてしまうからです。
交換は自身で
インビザラインは2週間に1回程度のペースで新しいマウスピースに交換が必要です。ペースを継続することはもちろんですが、装着時間を守っていないと計画通りに歯が動いていないので、交換の際に嵌まらないなど不具合を起こす可能性もあります。
マウスピースの取扱い
マウスピースは着色しやすく、熱いもので変形の可能性などあるため、食事の際には外します。また、清潔に保つため、装置も洗浄します。
上記のように、ワイヤー矯正であれば必要のない自己管理は必要になるので、かんりに不安のある方は取り外せないワイヤー矯正の方が向いているかもしれません。
また、若年層の場合には保護者の方の管理や本人の協力が不可欠になります。
ワイヤー矯正のよりも対応できる症状が狭くなることがある
インビザラインはワイヤー矯正の「引っ張る力」ではなく、マウスピースによる「押す力」で動かします。
ですから、重度の重なりや顎の変形がある場合など難症例の場合は、インビザラインだけでは治療できないと診断されることがあります。
歯科医師の知識や技術力に左右されることがある
インビザラインは、歯科医師の知識や技術力によって仕上がりが大きく左右されるデメリットがあります。
と言いますのも、インビザラインはアメリカで制作されている装置で、日本は「インビザライン社が主催する講習会に参加するとドクターライセンスが付与され治療を医院に導入することができる」という現状があります。
つまり、インビザラインを行う医院の中には、治療経験が豊富な歯科医師とそうでない歯科医師が混在しているということです。ですから、歯科医院選びは慎重に行う必要があります。
インビザライン矯正で失敗するパターン
インビザラインはワイヤー矯正ほど細かな動きができないため、症例によっては理想の歯並びにならない可能性もあります。
そこを見極めることができる歯科医師の治療を受けていないと、仕上がりのイメージが違って「失敗した」と感じる方もいるようです。
インビザライン矯正で失敗するパターンとして考えられる可能性をいくつかご紹介します。
歯列のスペース不足のまま治療を行った
インビザラインは多少の骨格の形状であれば動かすことも可能です。
しかし、骨格の大きなズレや歪みまでは修正することができません。
特に出っ歯が骨格性である場合、上顎が大きく前に突出したU字やV字形をしている方は、歯並びを揃えるとスペースが不足するため、押し出された歯は前方へ突出するしかなくなります。
そのため「『並び』は整ったのに、突出感は前よりも目立ってしまった」という方もいらっしゃるようです。
経験の浅い歯科医師が治療を担当した
現状日本では、インビザラインはアメリカのアライン社が主催する研修を受けるとインビザラインを使用できるシステムになっています。
そのため、矯正歯科の知識や治療実績が豊富でない歯科医師でも、インビザラインのシステムを導入することができます。インビザラインは調整は必要なく、マウスピースの交換で歯を動かす治療なので、計画通りに行けばそれでも良いのかもしれません。
しかし計画通りに歯が動かない事態が起こった際に、治療計画の再構築を行えない歯科医師の場合、思っていた歯並びにならない事態を起こす可能性もゼロではないということをご承知おきください。
決められた時間装着せずに治療期間が延びた
インビザラインは1日20時間以上の装着が推奨されています。これは、食事や歯磨き以外の時間、寝ている時も含めほぼ1日中ということになります。その条件下で決められた間隔でマウスピースを交換していくことで計画されていますので、外している時間が長ければそれだけ計画通りに歯が動かない可能性があります。
歯が動いていないと次の段階のマウスピースが入らないなど不具合が起こることもあり、交換の時期がずれてしまいます。
おのずと治療期間が伸びることになってしまうので、定期検診ごとに診察費用がかかる医院であれば、それだけ治療費の総額も多くかかることになる可能性もあります。
口内ケアを怠り虫歯や歯周病になってしまった
マウスピースタイプの矯正装置は、歯列全体を長時間覆う形状のため、食後は必ず歯磨きをしてから再装着することになっています。
しかし、外食後や学校・職場などで食後に歯磨きができない場合、食べかすが付いたまま再装着してしまうことを繰り返していると、虫歯や歯周病になりやすい口内環境を作ってしまいます。
治療途中に虫歯や歯周病が見つかった場合は、矯正治療を一時的に中断し、虫歯や歯周病の治療を優先しなければならないこともあり、治療期間が伸びたり、再装着しようとすると装置が合わなくなってしまったなどのトラブルを起こす可能性があります。
インビザライン治療で失敗しないために注するべきこと
インビザライン治療を選択するにあたり、失敗しないために注意するべきことをいくつかご紹介します。
確実に回避できるとは言えませんが、最低限のリスクを避けるためにも、参考にしていただければと思います。
インビザラインでの治療実績が多い歯科医院を選ぶ
「インビザライン矯正で失敗するパターン」の項であったように、インビザラインは治療を行う歯科医師によって仕上がりが左右されることが考えられます。
インビザラインは計画通りに行けばシミュレーション時の仕上がりが目指せますが、個々に違う歯並びの状態や、お口周辺の癖などの生活習慣も踏まえると、計画通りに治療が進むとは限りません。
もしもイレギュラーなことが起こった時にも再構築できるよう、治療経験豊富で実績を積んでいる歯科医師の治療を受けていただくことが重要です。
矯正装置の装着時間を守る
インビザラインは1日に20時間以上装着することが推奨されている装置です。
治療開始前に歯科医師から装着時間や、装置の交換についてなどお話があります。
装着時間を守らないと、治療が計画通りに進まなくなることが予測されますので、装着時間を守ることが治療失敗を予防することに繋がります。
適切に口内ケアを行う
インビザラインは取り外しができるため、口内ケアを行いやすい矯正装置です。食事の際には変色や変形を防ぐため外して行います。
また、食後は適切な歯磨きを行い、口内を清潔にしてからマウスピースを再度装着します。
マウスピースの交換は自身で行うプログラムになっていますが、歯科医院から指定された間隔で定期受診し、歯磨きが行き届いているか確認したり、新たな歯の動きに合わせて適切な歯磨き方法のレクチャーを受けたりします。
インビザラインで出っ歯を治療する際の費用相場
インビザラインで出っ歯を治療する際、どれくらいの費用がかかるのか相場をご紹介します。
インビザラインはワイヤー矯正と違い、アメリカのアライン社が独自のシステムででマウスピースの作製を行っているため、インビザライン自体の費用は大幅に差が生まれることはありません。
しかし、さまざまな要素から医院ごとに費用差はあります。精密検査費用、調整料やメインテナンスなどの通院時にかかる費用などの違いです。
インビザライン治療の相場は?
インビザラインは、症例によって部分矯正や全体矯正など、いくつかのタイプに分かれます。それぞれの相場費用をお知らせします。
部分矯正は相場が30〜40万円、全体矯正になると相場は70〜100万円程度です。
医院によって調整料が都度かかるため別払いになる場合と、総額提示(トータルフィー制)で都度かからない場合があります。
インビザライン・コンプリヘンシブ:80〜120万円
交換用マウスピースが無制限のプラン。重度の症例の方にも適応できるインビザラインの中で、奥歯も含め動かすことができ、一番自由度が高いプランです。
無制限なので、納得いくまで継続することができる安心感があります。治療期間の目安は2〜3年です。
インビザライン・モデレート:60〜90万円
交換用マウスピースが26枚までという制限があるコースです。
この交換枚数内で治療が完了するであろうと予測される中等度の症状の方向けのプランとなっています。治療期間の目安は1〜2年です。
インビザライン・ライト:45〜70万円
交換用マウスピースが最大14枚までという制限があるコースです。
モデレートよりもさらに少ない枚数でも治療できると予測される軽度の症状の方向けのプランです。治療期間の目安は3〜6ヶ月ほどです。
インビザライン・エクスプレス:30〜50万円
交換用マウスピースが最大7枚までという制限があるコースです。
ライトよりもさらに少ない枚数でも治療できると予測される軽度の症状の方向けのプランで、且つ、動かせる歯は「前歯のみ」となりますので、より軽微な前歯の調整だけで済む症例に適したプランとなります。治療期間の目安は3〜4ヶ月ほどです。
インビザラインGO:30〜60万円
交換用マウスピースが最大20枚までという制限があるコースです。前から5番目の第2小臼歯までが治療対象となる「部分矯正」向けとして取り扱われています。治療期間が最大で5ヶ月間という制限があります。
インビザラインファースト:60万円前後
子ども対象のインビザラインです。乳歯から永久歯に生え変わりがあっても対応できるスペースを設けたり、装着時間を管理しやすいようなコンプライアンス・インジケーターパーツが付いているなど、お子様の成長に合わせて治療できる工夫がなされたプランです。
顎の成長を利用した拡大や歯列矯正ができ、且つ舌癖などの改善も期待できます。また、ワイヤー矯正と異なり「目立ちにくい」「装置の凹凸がない」ことも、お子様の学校生活の中でも導入しやすいメリットがあります。
インビザラインティーン:80〜120万円
中高生など、ほぼ顎の成長も完了している思春期のお子様を対象としたインビザラインです。マウスピースの交換枚数に制限がない点ではインビザライン・コンプリヘンシブと変わらず、且つインビザライン・ファーストと同様に、中高生特有のお悩みに対応できる機能が追加されたシステムになっています。
インビザライン・ファーストにもあった永久歯の萌出を妨げないようなスペースの考慮や、コンプライアンス・インジケーターパーツの装着。また、インビザラインフルにはない「マウスピースの破損・紛失」への対応をしてもらえるサービスが着いているなど、中高生特有の背景や事情を考慮したシステムとなっています。
まとめ
インビザラインは出っ歯を治すことができる矯正装置です、ただし、装置の種類にもよります。
そのため、まずはご自身の出っ歯が「どのようなタイプの出っ歯なのか」を知ることが大切です。骨格性であるのか歯並びだけの問題なのかによって、インビザラインだけで解決するのか、他の装置の追加や、抜歯・外科手術といった別の治療を伴うのかなど、治療の流れも異なります。
中にはインビザラインだけでは治療できず、ワイヤー矯正と併用して治療することを提案する歯科医師もいます。
調整を必要としないプログラム化された治療だからこそ、矯正治療の経験が少ない歯科医師が治療する場合、イレギュラーなことが起こった際に軌道修正できないことも予測されます。
そのため、矯正治療の知識や技術、実績のある歯科医師の治療を受けていただくことをおすすめします。