歯の矯正は見た目に大きな影響を及ぼす口元を美しくしてくれるだけでなく、噛み合わせが正しく整うことによる健康へのポジティブな影響もあります。
しかし歯の矯正には”痛み”がつきものです。
もちろん人によって、もしくは矯正装置など治療法によって、痛みが全くないということもあるかもしれませんが、多くの場合は痛みが伴います。
この痛みに対してどのように対処して行くべきか解説します。
現在、歯の矯正中の方もこれから歯の矯正をしようと考えている方も必ず役に立つ情報なのでご覧になってください。
歯の矯正中にどうしても痛い時の対処法
歯の矯正は多くの場合、一定の痛みを伴いますが、時にはその痛みが日常生活に支障をきたすほどになることもあります。ここでは、そうした時に試すことができる対処法をご紹介します。
担当の先生に相談する
まず何よりも大切で確実な方法は担当の先生に相談することです。
歯科医師は、痛みの原因を正確に診断し、痛みに応じた対処法を提供できます。
例えば、矯正装置が正しくフィットしていない場合の調整や、痛みを軽減するための薬の処方、さらには痛みの原因になっている可能性のある歯肉炎などの治療を行うことができます。
また、痛みが一時的なものか、あるいは矯正計画を再考する必要があるのかについての助言もしてくれます。
痛みがあまりにもひどくて、緊急性が伴う場合には医院に電話して相談するのも一つの手段です。
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痛みの原因を特定する
痛みには様々な原因があります。矯正装置が歯に圧力をかけて動かそうとしているので、それによる痛みであったり、矯正装置が口内のあたって痛む場合であったり、口内の衛生状態が原因で起こる痛みなど、その種類は多岐にわたります。
痛みが発生する具体的な原因を理解することで、より効果的な対処法を実践できます。
たとえば、矯正装置が口内にあたって痛みが生じている場合、矯正装置のブラケットに特殊なワックスを適用することで、摩擦を軽減し痛みを和らげることができます。
また、痛みが歯肉炎から来ている場合は、適切なオーラルケアによって改善を図ることが重要です。
歯の矯正中に痛みを感じる原因5つ
歯の矯正に痛みはつきものですが、その痛みの要因によって効果的な対処方法が異なります。まずは歯の矯正により痛む原因としてどんなものがあるのかを知りましょう。
歯が動くとき
歯が動き始めるとき、歯を支える骨の間で圧力が変化し、それが痛みとして感じられます。
矯正装置による定期的な調整後には特に、歯が新しい位置に向かって移動するため、数日間は痛みが強くなることがあります。
通常、この痛みは一時的で、体が新しい圧力に慣れるにつれて減少します。痛みを和らげるためには、痛み止めを使用するなどの方法があります。
矯正装置が口内にあたるとき
歯列矯正装置、特にワイヤーやブラケットが口の中の粘膜に接触し、擦れたり圧迫されたりすることで痛みや違和感を引き起こすことがあります。
装置が新しく取り付けられた直後や、調整後は特にその傾向があります。
痛みを軽減するためには、ワックスを装置に塗る対策が有効です。
食べ物を噛むとき
矯正治療を受けている間、特に強い力がかかった時に痛みを感じることがあります。
痛みを軽減するためには、柔らかくて滑らかな食べ物を選ぶことが重要です。
例えば、スープ、ヨーグルト、プリンなどは優しい食べ物です。また、食事を小さく切ることで噛む負担を減らすこともできます。
歯肉炎や歯周炎になっているとき
矯正装置の存在は、食べ物の残りかすが残りやすくなり、それが原因で歯肉炎や歯周炎を引き起こす可能性があります。
これらの症状は、歯肉の腫れや出血を伴うことが多く、痛みの一因になります。
正しいブラッシング技術を身につけ、定期的に歯科医院でクリーニングを受けることで、これらの炎症を予防できます。
一時的な知覚過敏
矯正治療中に歯の移動によって一時的に敏感になり、冷たいものや熱いもの、甘酸っぱいものを食べたときに知覚過敏を感じることがあります。
この痛みは通常、数週間以内に自然と軽減されますが、強い痛みが続く場合は、歯科医師に相談し、知覚過敏抑制剤の塗布などの治療を受けることが有効です。
その他の原因
こちらで紹介する痛みの原因は歯の矯正をした方全員に当てはまるわけではありませんが、人によっては以下の原因によって痛みが生じることがございますので、ご紹介します。
一つ目が、抜歯による痛みです。歯の矯正をするには、特に日本人だと抜歯を伴う方も多いです。
この抜歯の影響で痛みが生じます。抜歯後に処方される鎮痛剤で痛みを抑えることができますが、それでも痛みが収まらない場合は、歯医者に相談しましょう。
二つ目が、ゴム入れの影響で痛みが生じる場合です。ワイヤー矯正でブラケットをつける際に、奥歯には「バンド」というものをはめることがあります。
しかし、歯と歯の間に十分な隙間がない場合には「セパレートゴム」と呼ばれる器具で隙間をあけることがあります。
これをゴム入れといいます。人によって痛みの度合いは異なりますが、このゴムいれによって痛みを感じる場合もあります。
三つめが、アンカースクリューを埋め込む際に生じる痛みです。歯を大きく動かす際に固定限としてアンカースクリューを埋め込む場合があります。
このアンカースクリューを埋め込んだ際に痛みが生じる場合があります。
こちらも治療後に鎮痛剤を処方されるので、基本的にはこちらで対処しますが、それでも痛みがおさまらない場合には担当の先生に相談しましょう。
痛みはどれくらい続くか
通常は矯正装置を装着したり、ワイヤーの調整、マウスピースの入れ替えをしてから1週間以内におさまることが多いようです。
長くても2週間以内にはおさまる方が多いです。なので2週間たっても痛みがおさまらない場合は担当の先生に相談してみると良いでしょう。
歯の矯正中に痛みがあるときの対処法
歯の矯正中に起こる痛みの種類について理解できたら、次はそれに対する対処法を見ていきます。この章では比較的即効性のある方法をご紹介しています。
痛み止めを服用する
歯の矯正による痛みが強い場合、市販の痛み止めを服用することが一時的な解決策となることがあります。
非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)の一種であるロキソプロフェンやアセトアミノフェンは、痛みを和らげるだけでなく、炎症を抑える効果も期待できます。
ただし、これらの薬剤を服用する際には、必ず用法・用量を守り、自己判断で過剰に摂取しないようにしてください。
また、薬には副作用があるため、担当の歯科医師と相談の上、適切な薬剤を選択することが重要です。
矯正用のワックスを使用する
矯正装置のブラケットやワイヤーが口の中の粘膜に接触して痛みや擦れを感じる場合、矯正用のワックスを使用することで痛みを軽減できます。
このワックスは、装置と粘膜との間に保護層を作り、直接的な摩擦を防ぐ役割を果たします。
使用方法は簡単で、適量を手で温めて柔らかくした後、痛みを感じるブラケットやワイヤーに塗り付けるだけです。
しかし、ワックスが粘膜を完全に保護するわけではないため、装置による刺激が続く場合は、追加の調整が必要になることもあります。
矯正治療用のワックスは市販でも販売されていますが、最初は歯科医院で購入して、使用方法を教わった方が安全です。
歯の矯正中の痛みを予防するためにするべきこと
歯の矯正中に起こる痛みの中には、事前に予防できるものもございます。具体的な予防法をご紹介いたします。
食事内容の工夫
歯の矯正中におすすめな食べ物と避けるべき食べ物
矯正治療中は、食べ物によっては装置を傷つけたり、痛みを増やしたりする可能性があります。
おすすめの食べ物は、柔らかくて消化しやすいものです。例えば、豆腐、ヨーグルト、スープなどが挙げられます。
これらは歯に負担をかけず、栄養をしっかりと摂取できるため、矯正中の食事に適しています。
避けるべき食べ物は、硬いもの、粘り気のあるもの、または非常に粒が細かいものです。
硬いナッツ類やキャラメル、ガムなどは矯正装置を破損させる原因となりますし、ポップコーンのような粒々した食べ物は装置に挟まり、虫歯の原因になることがあります。
口腔内ケアを慎重に行う
矯正装置をつけていると、食べかすが装置に挟まりやすくなります。
そのため、歯磨きは歯の矯正していないときに比べて、特に丁寧に行う必要があります。
一般的な歯磨きに加えて、矯正装置用のブラシを使うことで、ブラケットの周りやワイヤーの下など、通常のブラシでは届きにくい部分の清掃が可能です。
また、デンタルフロスやウォーターピックを使用して、矯正装置の間に残る食べかすを取り除くことも大切です。
決められた頻度で通院する
定期的な通院は、矯正装置の調整だけでなく、矯正治療中の口腔内の状態を先生がチェックするためにも必要です。
歯科医師や矯正歯科専門医は、装置の状態を見て必要な調整を行い、痛みを引き起こす可能性のある問題を早期に発見し、対処します。
また、口腔内ケアのアドバイスや、食事の指導も行ってくれるため、通院は治療の成功にとって不可欠です。
決められた頻度で通院しないと痛みも出るし、予定通りに治療が進まずに治療期間ものびてしまうし、ということになるので、必ず決められた通りの頻度で通院するようにしましょう。
矯正装置ごとの痛み
歯の矯正治療を行う際、使用する矯正装置によって感じる痛みには違いがあります。
ここでは、一般的なワイヤー矯正とマウスピース矯正の痛みについて、その特徴と対処法をご紹介します。
ワイヤー矯正の痛み
ワイヤー矯正は、ブラケットと呼ばれる金属やセラミックの小さな固定具を歯に取り付け、そこにワイヤーを通して歯を動かす伝統的な矯正方法です。
この矯正装置を装着した直後や調整後の数日間は、新たに加わる圧力により歯や歯茎に痛みを感じることがあります。
また、装置が口内の粘膜に擦れることで起こる痛みもあります。
これらの痛みは通常、数日から1週間程度で自然と和らぎますが、痛みが強い場合は、痛み止めの使用や矯正用ワックスをブラケットに塗ることで軽減できます。
また定期的に通院して歯科医師がワイヤーを調整する調整日の直後は痛みが出やすくなります。
マウスピース矯正の痛み
マウスピース矯正は、透明な取り外し可能なマウスピースを用いて歯を徐々に動かしていく方法です。
ワイヤー矯正に比べて見た目が目立たず、また取り外しが可能なため、日常生活における不便さが少ないとされています。
また、ワイヤー矯正に比べてマウスピース矯正は歯にかける力も弱めで、かつワイヤーが口内にあたるということもないので、マウスピース矯正の方が痛みは出にくい傾向があります。
しかし、マウスピースを新しくした直後は、歯に適度な圧力がかかるため、一時的な違和感や痛みを感じることがあります。
この痛みもまた、通常は数日間で慣れることが多いですが、痛みが強い場合は、装着時間を短くするなどして徐々に慣らしていくことが推奨されます。
まとめ
歯の矯正に伴う痛みの原因と対処法についてご紹介しました。
歯の矯正にはどうしても痛みはつきものであり、その痛みの強さには個人差があるので、事前に痛みをゼロにすることはできません。
しかし、少しでも痛みが減少するような準備をしたり知識を持つことは可能です。痛みを少しでも減らせる準備をして良き矯正ライフを送ってください。
そして、どうしても痛みがおさまらなかったり、その他トラブルが起きた際でも、一番確かな対処法は自分が治療している医院に相談することです。担当の先生が一番あなたの口の中の状況に詳しいので、最も適切な処置を施してくれます。
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