歯列矯正後に後戻りするって本当?! 後戻りしないために知っておきたいこと

  • 2023.11.022024.04.22
歯列矯正後に後戻りするって本当?! 後戻りしないために知っておきたいこと

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歯列矯正を長期間頑張ってせっかく歯並びを整えたのに、治療が終わって「保定期間」としてメインテナンスをおろそかにしていると、歯は100%に近い確率で後戻りしてしまいます
この記事では、せっかく高額な治療費と時間をかけて矯正したのに悲しい結果になってしまわないように、後戻りの原因や保定期間の必要性について解説します。
もうすぐ動的な治療が終わろうとしている人や、ご自身の状況が再治療する必要があるのかどうか気になっている人の参考にもなると思いますので、後戻りへの不安がある人はぜひ参考にしてください。

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歯列矯正後に後戻りする確率は?後戻りしないためにするべきこと

矯正治療後はケアを怠るとほぼ100%後戻りしてしまいます

歯を動かす治療が完了した後は、歯の位置が定着するまで「保定期間」を設けます。矯正治療後の保定を怠ると後戻りしてしまうからです。
歯に力を加えて場所移動させているため、移動した場所で組織が落ち着いて定着する時間が必要です。また、歯並びが悪くなった原因が解消していないと、同じように歯が動いてしまいます。例えば、お口周辺の筋力が弱いことで出っ歯になっていた場合、矯正力で歯並びを整えても、同じように口元が弱ければ、歯の位置を維持することができずに動いてしまう可能性があります。

保定装置(リテーナー)を付けていても後戻りすることはあるの?

リテーナーを付けていても後戻りしないとは限りません。もしもリテーナーを付けていたのに後戻りしたとすれば、歯科医師の指示通りの時間装着していなかったり定期検診を決められた間隔で受診していなかったりといったような要因が考えられます。

リテーナーの装着期間や時間はどれくらい?

保定装置は矯正治療で歯を動かすのにかかった期間と同じくらい装着するのが理想とされています。例えば動的治療に2年かかったのであれば保定期間も2年ということになります。また、1日の装着時間は初めは20時間以上と、食事や歯磨きの時以外はほぼ付けっぱなしです。その後、状態を確認しながら定期検診の期間を伸ばしたり、1日の装着時間が短くなったりすることもあります。

なぜ後戻りしてしまうのか?

「後戻り」は、歯科矯正治療で正しい位置に整えたはずの歯並びが、徐々に元の位置に戻ろうとしてずれが起こってしまうことです。特に動的な矯正治療が終了してしばらくは、周辺組織が不安定な状態にあるため、保定するための「リテーナ」を付けておかないと後戻りしてしまいます。
また、他にも後戻りを助長してしまう要因もあるので以下に解説します。

リテーナーの装着時間が不足していた

動的な治療が終わったら、基本的に保定装置(リテーナー)を装着します。上顎が下顎にかかる形で噛み合うため、上顎に取り外しができるリテーナー(床タイプやマウスピースタイプ)を行い、後戻りしやすい下顎前歯の裏側には取り外しができないワイヤー固定を行うことが多いです。
取り外しができるため、装着時間の管理は自身で行うことになります。付け忘れや紛失などによって外している時間が多ければ後戻りしやすくなります

口腔周辺の悪習癖がある

そもそも歯並びが悪くなる原因として、指しゃぶりや爪噛み、舌突出などお口周辺の癖や、口輪筋の弱さなどがあります。歯並びが整っても悪習癖が残っていると、再び治療前と同じような力が加わるので、歯が動いてしまいます。

噛む力(咬合圧)による後戻り

噛むときにかかる「咬合圧」は、前方にベクトルが向いて働きます。先ほども解説したように、唇の筋力の弱さなども関係し、前方へかかる力によって少しずつ前に押されて歯が動いてしまうのです。

親知らずが押す力

親知らずの生える方向が横や斜めになって前方の歯を押してしまうことがあります。歯列矯正時にはまだ確認できないことや、精密検査時には影響はないであろうと診断されていた場合、抜歯せずに矯正治療を行うこともあり、治療終了後に後戻りの原因を調べると、親知らずが見つかったということもあります。

頬杖や横向きに寝る癖

頬杖や横を向いて寝る癖があると、片方だけに外側から押さえる力が働きます。慢性的に同じ力がかかると、少しずつ歯が動いてしまうことがあります。

矯正装置と保定装置の違い

そもそも、装置の違いが分かっていないという方もいらっしゃるかもしれません。歯を動かすための矯正装置と、動いた歯の位置を安定させるためのリテーナーの違いを明確にしておきましょう。
それぞれの役割がはっきりすると、保定期間の必要性もお分かりいただけると思います。

歯を正しい位置へ動かすのが「矯正装置」です

ワイヤーやマウスピースで歯に力を加えて動かす装置です。動かす治療期間は歯並びにもよりますが、おおよそ2年〜3年くらいかけて徐々に動かします。この期間は「動的治療」と呼ばれることもあります。
動的矯正治療装置にはいくつか種類があり、歯並びの状態に併せて選択肢が変わることもあります。
また、審美性や費用、ライフスタイルなど総合的に考えて、自分に最適な方法と思われるものを選びましょう。

ブラケットワイヤー矯正(表側矯正)

歯1本1本の表面に「ブラケット」という装置を接着し、ワイヤーで連結して歯を動かす一般的な矯正治療方法です。さまざまな症例に対応できる方法で、重度な症例の場合は手術と組み合わせて行われることもあります。
金属の装置が一般的ですが装置が目立ちやすいため、近年審美性を考慮した透明な歯科用プラスチックや白いセラミック素材のブラケットやワイヤーも導入され、選択肢が増えてきています。

裏側(リンガル)矯正

歯の裏側にブラケットとワイヤーを付けて動かす装置です。歯を動かす原理は表側矯正と同じですが、装置が歯の裏側にあるため、矯正治療をしていることに気づかれずに治療を受けることができます。矯正装置が見える事に抵抗がある方や、人前に出る機会の多い職業(サービス業や司会業など)の方などにおすすめの方法です。
ただし、装置が付けにくいことや、調整が表側矯正よりも難しいことから、取扱いできる歯科が多くはないのに加え、費用も表側矯正の約1.5倍ほどが相場とされています。技術力・診断力がある歯科医師に治療してもらうことをお勧めします。

マウスピース矯正

薄く透明な素材でできたマウスピースをはめて歯を動かす方法です。ワイヤー矯正に比べて審美性に優れ、取り外しができるので、食事や歯磨きがしやすいというメリットはあります。
ただし1日20時間以上装着が必要で、装着時間が足りないと計画通りに歯が動かないこともあるため、自己管理が必要な方法でもあります。
また、さまざまなメーカーがあり、医院によって取扱いメーカーが違うこともあります。中には軽微な症状しか動かせない装置もありますので、ご自身の症状に合った装置を取り扱う医院で治療を受けましょう。

矯正装置についてはこちらも参考に!:ワイヤー矯正の種類や費用を解説!ワイヤー矯正とマウスピース矯正どっちが向いてる?

マウスピース矯正についてはこちら!:マウスピース矯正ができない人はいる?他の矯正治療についても紹介!

整った歯並びを安定させるのが「保定装置」です

歯並びが整って矯正装置を外した後は、リテーナーと呼ばれている保定装置をつけます。リテーナーは取り外しができるものが多く、いくつか種類がありますが、その医院で導入している方法から、患者の希望や歯並びの様子を見ながら歯科医師が選択し提案されます。
なかには固定したままのリテーナーもあります。前歯の裏側に付けるワイヤータイプが多く、歯垢がたまりやすく虫歯や歯周病の要因になりますので、保定期間中も口腔内を清潔に保ちましょう

ベッグタイプ

多く見られるのがこのリテーナーで、歯全体をワイヤーで囲んで固定する方式です。床という上顎(口蓋)と接する部分で安定するように作られており、取り外しができるので、歯磨きや食事の際は外して行います。

ホーレータイプ

ワイヤーで前歯をしっかり固定するリテーナーです。こちらも取り外しは可能で、ワイヤーが白色や透明のものも選択できる場合があります。

マウスピースタイプ

透明なマウスピース型のリテーナーです。目立たず装着していることがわかりにくいのがメリットです。薄いので破損したり無くしたりしやすい傾向があるため注意が必要です。

こちらも参考に!:歯科矯正後のリテーナーにはどんな種類がある?装着期間・お手入れ方法

保定装置では後戻りの改善はできません

もしも「後戻りしたかも」と感じた場合、リテーナーを付けても歯並びが元に戻ることはありません。リテーナーはあくまでも「並んだ歯をその位置で固定するため」のものであるからです。

後戻りがあまり進行しておらず、リテーナーが入るくらいの状態であれば、それ以上動かさないようにすることはできるかもしれませんが、後戻りが気になったらできるだけ早めに治療を受けた歯科医院に相談することをお勧めします

装置が入らなくなることもあります

口腔内は繊細なので、数ミリ動いただけでも、リテーナーが入らなくなってしまう場合もあります。リテーナーが装着できなくなってしまった状態を放置していれば、さらに歯が動いてしまい取り返しがつかなくなる可能性が高まります。リテーナーが入らないくらい後戻りしてしまったら、できるだけ早めに担当矯正歯科へ連絡して診てもらいましょう

10年経っても後戻りすることもあります

リテーナー装着期間は終わっても、できる限り装着しておくことをお勧めします。保定期間をすぎても、加齢や舌の癖などお口周辺の変化で、後戻りする可能性はゼロではないからです。そして、後戻りの約半分が、保定期間が終わってから(2年後以降)に発生していることや、保定後10年経っても後戻りすることがあるとも言われています。

再治療の判断はどうするのか

後戻りの度合いが気になり、コンプレックスになってしまっている場合は、再治療を検討されると思います。できれば、これまでの治療の流れが分かっている、治療を受けた歯科医院でご相談されることをお勧めします
リテーナーが入らなくなるほどのずれが生じてしまった場合も、再治療の対象となるほど動いてしまっている可能性があります。噛み合わせが以前よりもずれて噛みにくい場合も、歯科医院に再治療の相談をしてください。

再治療の費用について

再治療費用は、歯並びの状態によって異なるため、相場費用としてご説明することが難しいです。
噛み合わせに問題がなく、前後にずれただけでスペースも十分にあるというようなケースであれば、部分矯正で対応できる可能性が高くなります。
もしも全体的なずれがある場合には、再度全体治療と同じ装置を用いることもあり、費用は歯科医院の取り決めた費用になります。
医院によっては後戻りの「保証」を設定していたり「後戻り治療プラン」がある場合もありますが、もしも違う医院で治療を希望する場合には、新規扱いやセカンドオピニオン扱いになり、費用が最初の治療と同じくらいかかってしまう場合もあります。

後戻りしないために気をつけたいこと

一番は「後戻りしないこと」に尽きます。そうは言っても、治療が終わったことで気の緩みが出ることもあるでしょう。ただ、せっかく長期間と高額な費用をかけて治療するのですから、後戻りしないようにしたいものです。動的な歯列矯正後、歯並びが後戻りしないためにできることをご紹介しますので、後戻りしないための生活のヒントにしてください。

歯科医師の指示通りにリテーナーを付けましょう

リテーナーは、1日の装着時間が決まっています。後戻りしないためにほぼ1日中に近い時間が必要で、食事の時と歯磨きの時以外はほぼ付けたままというイメージです。長いのでつい外しがちになったり、食後に付けるのを忘れてしまったりということもあると思います。ですが、外している時間が増えれば増えるほど、後戻りのリスクは高くなってしまいます

紛失や破損時はすぐに再製作してもらいましょう

取り外せるということはメリットの反面、紛失や破損のリスクは増えます。もしも紛失してしまったり破損してしまったりした場合には、次の検診を待つのではなく、できるだけ早く再製作してもらい、リテーナーをしていない期間を短くしましょう

定期検診を欠かさないように受けましょう

定期検診は後戻りの「早期発見・早期治療」につながります。少しのずれは自身では気づきにくいことも、定期的にプロの目で確認してもらうことが大切です。また、定期検診に行くことが保定期間のモチベーションの継続にもつながります。

まとめ

矯正治療後は、誰もが「後戻りはしたくない」と思っていると思います。長期間頑張って綺麗な歯並びを作っていくことも大切ですが、手に入れた後、その歯並びを「維持」することも重要です。
後戻りの原因を理解し、できるだけ要因になりそうなことを避けることや、担当歯科医師と決めたリテーナー装着時間や定期検診間隔を守ることで、後戻りを予防することができます。
いつまでも綺麗な歯並びが維持できるように、治療後のメインテナンスを大切にしていきましょう。

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