長年の悩みであった歯並びを治すために歯科矯正を始めたい!そんなあなたがまず気になるのが「抜歯」についてではないでしょうか?
矯正について調べていると「そもそも抜歯しないと矯正治療ができないのか?」「どのタイミングで抜歯を行うのか?」「抜歯後いつ矯正装置をつけるのか?」など、気になることが沢山でてきます。
今回はそんなお悩みに応えるべく「抜歯と矯正治療のスケジュール」についてお話ししていきます。
矯正治療に抜歯は必要かどうか
矯正治療をする方全員が抜歯が必要というわけではありませんが、日本人は顎が小さく歯が並ぶスペースがないために歯がガタガタになってしまっている人が多いと言われています。
そのため抜歯を必要とする割合が多く、矯正をする人の50%以上が抜歯をしています。(戒田清和 他: 日矯歯誌 57,103-106,1998.)
顎が小さく歯が並ぶスペースがないのにも関わらず、抜歯をせずに矯正治療を進めていこうとすると、前歯が前に出てきて出っ歯になってしまう、歯根が露出してしまったり歯肉が退縮してしまう、奥歯の噛み合わせが合わない、歯が後戻りを起こしてしまうなどのトラブルが起こりやすくなります。
健康な歯を抜くのには抵抗があり矯正治療をためらう方も多いですが、矯正せずに歯並びが悪いまま放置しておくと虫歯や歯周病で歯を失うリスクが高くなってしまうのも現実です。
矯正治療の抜歯は見た目だけでなく、健康な歯を生涯維持していくためにも必要になる場合がある処置であることを理解しておきましょう。
抜歯はどのタイミングで行う?
まず矯正を行う際に抜歯が必要な場合は主に「親知らず」を抜歯する、「第一or第二小臼歯のどちらか」を抜歯するパターンが多いです(人によっては他の部位を抜歯することもあります)。
基本的にどちらも矯正装置をつける前に装着することが多いです。(第一or第二小臼歯のどちらかを抜歯する際には、矯正治療を開始してから行うこともあります)。
抜歯は歯を並べるスペースを確保するために行いますので、矯正治療を始める最初の段階で行う必要があります。
抜歯のスケジュール
矯正治療をするにあたり、抜歯が必要とされた方は抜歯の際に矯正装置を破損してしまうこともあるため、矯正装置をつける前に抜歯を済ませておくことが多いようです。
インダイレクトボンディングシステムなど矯正装置の種類によっては、抜歯することにより歯がわずかに移動してしまい、矯正装置が正確につけられなくなってしまう場合もあり、装置装着後に抜歯をする場合もあるので担当医の先生に抜歯をするタイミングについて事前に確認をしておきましょう。
この抜歯のスケジュールですが、抜歯が完了するまでは約1ヶ月程度かかると考えましょう。
人によっては、親知らず4本(上2本と下2本)と小臼歯4本(上2本と下2本)の計8本もの抜歯が必要になる方もいらっしゃいます。
抜歯のスケジュールは人それぞれですが、基本的に抜歯をした後は1週間ほど様子を見てから次の抜歯というスケジュールが一般的ですので、8本の抜歯を1本ずつ行っていく場合は抜歯だけで2ヶ月ほどかかる場合もあるということを知っておきましょう。
「何度も麻酔をして抜歯をしたくない!」という方は、まとめて2本抜歯すると抜歯の回数も少なく矯正装置をつけるまでの期間も短縮できます。
その場合は、右と左を一緒に抜くと食事がしにくくなりますので、右の上下2本、次の週に左の上下2本などと考えて抜歯してもらうようにしましょう。
抜歯した後どれぐらい経てば矯正装置は装着できる?
抜歯後に矯正装置をつけるタイミングは明確には決まっていません。
基本的には抜歯をした直後でも矯正装置をつけることは可能ですが、抜歯後数日は出血や腫れが残ることもあります。出血が多いと矯正装置をつける接着剤がつきにくくなるため出血が止まってから装置をつけることが多いようです。
また、抜歯による痛みが数日残る場合もあり、特に初めて矯正装置をつけた後は、歯が動く際に痛みを感じやすいため、「抜歯の痛み」と「歯が移動する際の痛み」で強いストレスを感じやすくなってしまいます。できれば抜歯後の患部が落ち着く3日以上経ってからの方が患者様の負担が少なくてすむのでおすすめです。
出来るだけ早く装置をつけて矯正治療を始めたいという方は、矯正の先生と相談してスケジュールを調整してくださいね!
抜歯後の痛みと腫れの程度は?
抜歯後の痛みは歯がどのように生えているか、歯科医師の技量によって大きく変わってくるので一概には言えませんが親知らずの場合、上の親知らずの抜歯はあまり腫れにくく痛みも感じにくい傾向にあります。しかし奥の方に埋まっている親知らずの抜歯の場合には数日ほど腫れや痛みが残る場合もあります。
逆に、下の親知らずは横向きに埋まっていることも多いため、抜歯後は1週間程度腫れが残ると言われています。真っ直ぐに生えている親知らずであれば、基本的には1~3日でおさまるケースがほとんどなので心配ありません。自分の親知らずの抜歯がどの程度腫れや痛みが続くのかを、事前に抜歯の担当医に確認をしておくようにしましょう。
また、歯列矯正の際には歯を動かすスペースをつくるために、小臼歯(前から4番目と5番目の歯)を抜歯するケースが多いのですが、小臼歯の抜歯は一般に親知らずほど痛みや腫れは少ないと言われています。
抜歯の処置自体は麻酔をしっかりときかせて行うためそこまで痛みを感じることはありません。むしろ「痛みよりも、お口を長時間空けていることの方が疲れた!」なんて方も多いほどです。
抜歯後は麻酔が切れてくると、ある程度の痛みや腫れを伴います。
しかし、歯科医院で痛み止めを処方してもらえますので麻酔が切れそうになる30分ほどまでに服用しておくと痛みを感じにくくストレスも軽減されます。
抜歯した当日は入浴・運動・飲酒・刺激物の摂取は控えるようにしましょう。また、腫れをひかせたいからとアイスノンや氷で冷やす方がいらっしゃいますが、あまり冷やしすぎると患部の血流が悪くなり治りが悪くなってしまいます。
矯正装置をつける予定なども遅れてしまう可能性があるので、患部は濡らしたタオルや冷却シートなどで軽く冷やす程度にしておきましょう。
抜歯の隙間はどの程度で埋まるの?
小臼歯を抜いた場合はその部分の歯が抜けたような状態になりますが、その隙間が目立たなくなるには1年〜1年半ほどかかるとされています(個人差あります)。
長期間そこには歯が無い状態になってしまいますが、キレイな歯並びのために我慢しましょう。どうしても隙間が気なる場合には、人口の歯を隣の歯につける方法もありますので担当医の先生に相談してみましょう。
ちなみに歯を抜いた後の歯茎は、その部分に穴があいた状態になりますが穴自体は2週間〜3週間ほどでふさがれていきます。その部分に新しい骨ができるのは半年から1年ほどかかるとされています。
抜歯は一般歯科、矯正歯科どちらで行えばいいの?
矯正治療を行なう上で抜歯が必要になった場合一般歯科(口腔外科)と矯正歯科どちらで行えばいいのでしょうか?
答えは、ご自身が矯正治療を受ける歯科医院が抜歯も行っているかどうかによります。
矯正歯科専門の医院だと矯正治療のみしかしていないので抜歯ができない医院が多いようです。その場合は、一般歯科の方へ紹介状を書いてもらい後日一般歯科や口腔外科で抜いてもらうパターンになるでしょう。
矯正治療や一般歯科どちらも診療している医院では、同じ医院で抜歯も矯正も行えます。
ご自身の通いたい歯科医院で事前に抜歯はどこで受けるのか質問してみてくださいね!また、一般歯科で抜くのが難しい親知らずなどの場合は、大学病院を紹介されることがあります。
まとめ
抜歯から矯正までのスケジュールは患者様のお口の状態によって個人差があります。
矯正治療前に抜歯にかかる期間としては抜歯の数が少ない人で2週間から1ヶ月、抜歯の数が多い人で1ヶ月〜2ヶ月をみておきましょう。
抜歯をした後に矯正装置をつける場合は最低でも3日以上空けてから行なうと痛みなどがなく矯正治療が始められ、抜歯をして歯が無くなってしまったスペースは矯正装置をつけてから1年から1年半ほどで目立たなくなっていきます。
抜歯や矯正装置など大変なことが多いですがキレイな歯並びのためにもコツコツ頑張りましょう!
ご自身が抜歯が必要なケースなのか、またどの歯を抜く必要があるのかは歯科医院で相談してみてくださいね。
デンタルジュでは一人ひとりに合った歯医者探しのお手伝いをしています。ぜひお気軽にご相談ください。