歯列矯正を大人がやるのは本当に危険なのか?リスクと安全に治療する方法を解説

  • 2024.02.132024.02.27
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昨今、大人になってから矯正治療を始める人が増えています。

しかし、美容寄りで適切に行われない矯正治療もゼロではなく、また、お口の環境によってはさまざまなリスクもあることも事実です。
信頼できる歯科医師を選択したり、自身が納得のいく治療を選択することで、避けられるリスクもあります。

そこで今回は、大人になってから矯正治療を始めたいとお考えの方へ、考えられる危険性や安全に治療するためのリスク回避方法を解説します。
リスクについて事前に確認し、歯科医院選びのヒントにもぜひお役立てください。

大人も歯列矯正はできる

歯科矯正治療というと、ひと昔前までは、子どもが受ける治療というイメージをお持ちの方も多いのではないでしょうか。

しかし近年、大人の方の治療希望者が増えており、矯正歯科でも「大人の治療」として治療方法や装置などを紹介している医院が大多数です。

矯正治療は大人からでも、年齢に関係なく受けることができます。

ただし、できるかどうかは「歯を支えている歯茎や歯槽骨など周辺組織が健康であること」が必要条件となってきます。
歯茎や歯槽骨に何かしら問題がある場合には、20代の方であっても、矯正治療できないという診断になる可能性もあります。

逆に、80歳を過ぎてから矯正治療を行った患者の例もあるため、歯茎や歯槽骨が健康であれば、年齢は関係なく治療を受けることができます。

まずは、ご自身のお口の健康状態を確認したり、どのような治療が適しているのかを確認する「カウンセリング」を受けることからスタートです。

大人の歯列矯正が危険だといわれる原因

では、先ほどのお話を踏まえ、具体的に「大人の歯列矯正が危険」と言われてしまう原因は何か、具体的に掘り下げてみましょう。

歯根吸収が起こることがある

「歯根吸収」とは、歯の根っこが組織に吸収されて短くなり、支えられなくなってグラグラ揺れたり抜けやすくなる現象のことです。
通常は矯正治療で歯を動かしても歯根吸収が起こるのはごくわずかで、悪影響を及ぼすことはほとんどありません。

しかし、矯正器具で強い力をかけたり無駄な動きが加わったり、もしくは何度も矯正を繰り返しやり直すなど時間がかかり過ぎてしまうことで、歯根への負担が大きくなります。
それが原因で吸収を起こしてしまうのです。子どもに比べて、大人は虫歯や歯周病など、すでに口腔環境が悪いことも考えられます。

そのような方は、健康な口腔環境の人に比べると、矯正治療によって歯根吸収を起こすリスクは高くなります。

歯肉退縮が起こることがある

「歯肉退縮」とは、歯のくびれを覆っている歯肉(歯ぐき)の位置が下がってしまった状態のことです。

歯の根っこが見えてくるため、知覚過敏の原因になったり、虫歯や歯周病のリスクを高めてしまうこともある症状です。
この症状は歯根吸収と同様に、歯に強い力がかかることによって起こります。

歯肉が弱い場合は、矯正治療することによって余計に歯肉退縮するリスクを高めてしまうことになる可能性もあります。

歯ぐきが下がると歯が長く見えたり、歯と歯の間に三角のすき間(ブラックトライアングル)ができたりすることがあります。
歯を動かす力が強過ぎたり、過剰な歯列拡大を行ったりした場合に起こることがあります。

虫歯や歯周病のリスクが上がる

大人は子供に比べて、口腔内の細菌数が多いとされています。
その数は約300〜700とも言われていて、歯並びが悪ければ、より磨き残しも多い傾向があるため、細菌数はより多いことが予測されます。

矯正装置が口腔内に入ると歯磨きのしにくさも影響し、虫歯や歯周病の原因菌が繁殖しやすくなってしまいます。

特にワイヤー矯正はブラケットとワイヤーが歯の表面に付いたままになるので、矯正治療開始前よりも入念な歯磨きや口腔健康管理が必要になるのです。
矯正期間中の歯磨きの仕方を習ったり、歯間ブラシやワンタフトブラシを併用するなど、歯磨きにも工夫が必要になります。

矯正期間中の見た目

矯正治療は、特に表側矯正(ブラケット・ワイヤー矯正)で治療を行う場合、金属製の矯正装置を歯の表面に付けたままの状態になります。
口を開くと装置が目立ち、口を閉じたくても、装置の厚みの分、口が盛り上がった状態になることもあり、決して見栄えが良いとは言えません。

特に人前に出ることの多い職業の方は、話しにくさや笑いにくさで、仕事に支障が出るという方もいらっしゃいます。

ただし、解決策として、審美性の高い矯正装置も多くなっています。
例えばマウスピース矯正は薄く透明なマウスピースを装着するため、矯正治療をしていることを気づかれることも少ないようです。

また、同じブラケット・ワイヤーでも、裏側に付ける「裏側矯正」や、目立つ上顎のみ裏側につける「ハーフリンガル矯正」、表側矯正で透明や白い装置を選択できる場合もあります。
取扱装置は医院ごとに違うため、医師に相談したうえで、最適な方法を見つけていきましょう。

矯正治療中の痛み

矯正治療は、顎の骨(歯槽骨)に埋まっている歯に力を加えて動かすのですから、ある程度痛みが出ることもあるでしょう。

しかし、痛みの感じ方には個人差があります。
傾向としては、成長過程の子どもよりも、顎の形成が完了している大人の方が歯が動きにくく、それだけ動かせば痛みを感じるのではないかと考えられています。

また、歯が動く痛みだけでなく、矯正装置で口腔内粘膜を傷つけたりすることもあって、痛みを伴うというリスクは考慮しておくべきリスクです。
中には、痛みで食事がしにくい時期があったり、口内炎ができて痛みが長引くというような事例もあります。

後戻りする可能性

「後戻り」とは、矯正治療後に、綺麗に並んだはずの歯並びが戻ることをいいます。
原因としては、頬杖や横向きに寝るなどの生活習慣など、外部から何かしらの力がかかってしまって起こることもありますし、舌で歯を押す癖や口呼吸で日頃から口が開いているなど、悪習癖から起こるものもあります。

上記のような原因による後戻りをしないようにするため、矯正治療後は保定期間を設け、後戻り防止の装置(リテーナー)を装着しますので、適切な時間の装着をしていれば、予防することが可能です。

ただし、正しく装着ができない場合には、ほぼ100%の確率で後戻りが起こると考えてよいと言い切れるほど、高い確率で後戻りしてしまいます。

歯列矯正後に後戻りする確率は?後戻りしないためにするべきこと

アレルギー発症のリスク

矯正治療では、金属製のブラケットやワイヤーを使うことが多くあります。
その装置には金属アレルギーのリスクがあるため、金属アレルギーをお持ちの方は受けることができない場合があります。

また、治療前に金属アレルギーでなかった方も、非常に稀ではありますが、長期間金属が口腔内に入ったままになることで金属アレルギーを発症してしまうこともゼロではありません。

アレルギー体質の方は特に注意が必要かと思いますので、装置の選択など、治療を受ける歯科医師に事前に相談が必要です。

歯列矯正のリスクを回避する方法

では次に、具体的なリスク回避の方法をご紹介します。

「近いから」「費用が安いから」といった安易な決定や思いつきで矯正治療を開始すると、後悔する結果を招く恐れもあります。

「思ってたのとは違う」「やらなければよかった」と後悔しないように、ポイントを押さえて歯科医院選びをしましょう。

信頼できる矯正歯科医師を選ぶ

先述した、矯正治療におけるリスクについては、カウンセリング時に把握しておくことが重要です。
歯科医院側からの説明が十分でなかったり、患者側の理解が不十分なまま治療を開始してしまうことが、治療の失敗や後悔といったトラブルにつながってしまいます。

後悔のない納得した治療を受け、治療を成功させるためには、歯科医師との信頼関係は欠かせません。
治療を受ける歯科医院選びの際には、治療内容だけでなく、担当する矯正歯科医師との相性も意識してみましょう。

<ポイント>

・自分の悩みや要望を十分聞いてくれて伝えやすい雰囲気がある

1番のポイントは、担当矯正歯科医師との「相性」だと思います。
年単位で長期間通院することになることが多い矯正治療は、通院のモチベーションを維持することも大切です。
そのためにも、自分の悩みや要望を伝えやすい雰囲気、相性が合うと感じるかといったことはとても重要なポイントになります。

・矯正方法について、一方的ではなく、無理に押し切ったり、治療を進めようとしないか

矯正治療は、矯正歯科医師の治療方針や得意とする治療方法などさまざまです。

そのため、カウンセリングを受けても、異なる見解や治療計画を提案されることもよくあります。
歯科医師の治療方針を押し付けてくるのではなく、患者側の悩みや要望もしっかり聞いた上で治療の提案をしてくれる歯科医師から治療を受けていただくことが、納得のいく治療を進めていく上でも重要なポイントになると思います。

 ・治療に関してのメリットだけでなくデメリットもきちんと説明してくれるか

矯正治療の方法はいくつかあり、それぞれにメリット・デメリットがあります。
メリットに感じることでも、受ける患者側のライフスタイルには合っていない場合もありますので、良いところばかりを推してくるのではなく、デメリットとなり得る部分も十分説明してくれ、選択肢を提案してくれるような矯正歯科医師を選ぶことが重要です。

・お口や歯の健康、将来的なことも踏まえた提案をしてくれているか

最近では、審美性重視の矯正治療もあります。

本来歯科矯正治療は、歯並びだけでなく噛み合わせも正しい位置で噛めることも重視されます。
歯並びだけ綺麗に揃って見えても、噛み合わせが合っていないのでは、食事がしづらい、発音しにくい、歯の部分的に負担が大きい場所ができるなど、さまざまな弊害を生みます。

そのため、消化不良や滑舌の悪さ、歯や顎関節へのダメージ、歯並びの後戻りなど、お口周辺の悪影響のみならず、健康被害に繋がってしまうこともあります。

噛み合わせも含めた歯列矯正の計画をしっかり立ててくれる歯科医師の治療をぜひ受けていただくことをお勧めします。

矯正中の口腔ケアを怠らない

矯正治療期間中は装置を装着することで、矯正治療開始前よりも、虫歯や歯周病、口臭リスクがどうしても高まってしまいます。
矯正治療期間に治療期間に虫歯や歯周病の治療も必要になると、治療期間が伸びてしまうことにもなりかねません。

そこで、矯正治療前よりも入念な口腔ケアが必要になります。治療期間中は定期的に口腔チェックがあります。
矯正治療の進行度チェックだけでなく、歯科医院で虫歯や歯周病のチェックを行ったり、歯科衛生士による口腔ケア指導を受けたりすることも重要です。

<ポイント>

・指示通りの時期に定期的に通院する

歯並びの状態や矯正装置によって定期通院の頻度は変わりますが、ワイヤー矯正は動的調整が月に1回のペース。
マウスピース矯正の場合は、アライナー交換を自身で行うため、2、3ヶ月に一度の通院というケースもあれば、お口の健康管理も含めて毎月来院が必要というパターンもあります。
いずれにしても、患者ごとに症状や装置が違うので、それぞれに適した間隔の通院の指示があります。
通院を怠ることで、虫歯や歯周病になって矯正治療が順調に進められなくなったりすることもあるので注意しましょう。

矯正期間ならではの歯磨きを入念に行う

矯正治療期間は、矯正治療をしていない時と同じ歯磨きではなくなります。
ワイヤー矯正の場合は装置が歯の表面に付いたままになるため、ブラケットの周辺やワイヤーで歯ブラシの毛先が届かないところに「ワンタフトブラシ」や「歯間ブラシ」を併用して汚れを落とすなど、工夫が必要になります。
また、マウスピース矯正の場合は、汚れたまま装着すると虫歯や歯周病リスクが上がるため、食後に必ず歯磨きをしてから装置を戻すことが必要になります。

・マウスピース矯正の場合は装着時間を守る

マウスピース矯正は、1日20時間以上の装着が求められます。ほぼ、食事中と歯磨きの時以外は付けたままという感覚です。計画通りに歯を動かすためには、装着時間を守ることが前提となります

そのため、食後に装着しないまま忘れていたり、装置が合わないので外したままにしておくと、計画通りに治療が進まなくなってしまいます。

・保定期間中は決められた時間装着を継続する

動的治療が終わると保定期間に入ります。歯並びが綺麗に整った後でも、歯は元の位置に戻ろうとしてしまうため、動いた位置をキープするために保定装置(リテーナー)を入れる期間を設けます。決められた時間装着を継続することと、定期検診を受けることで、歯並びを保つことができます。

目立たない矯正装置を選ぶ

見た目の問題は、目立たない矯正装置を選ぶことで解消されます。
基本の矯正費用に追加料金が必要になったりと、一般的な金属ブラケットワイヤー矯正よりも費用は高額になることが多いようです。

目立たない装置には以下のようなものがあります。

・マウスピース矯正

薄く透明な素材でできたマウスピースで歯列全体を覆うため、矯正装置が目立つことはありません。

・裏側(リンガル)矯正

ブラケットとワイヤーを、歯の裏側に装着するため、矯正装置はほとんど見えません。

・ハーフリンガル矯正

装置を目立たせたくない上顎を裏側矯正し、下顎を表側矯正にすることで、目立ちにくくなります。

・審美ブラケットワイヤー矯正

表側矯正のブラケットやワイヤーを透明や白いものを使います。
金属よりは目立ちにくくなりますが、歯の色に合わせることはできないため、完全に目立たないということはありません。

痛みの回避には「マウスピース矯正」がおすすめ

矯正治療に伴う痛みは以下のようなことが考えられます。

・歯が動く時の痛み

歯に圧力をかけて動かすため、顎の骨や内部組織が押された側は吸収され、元あった場所は組織の修復が行われます。
そのため痛みを生じると考えられています。

・装置が当たって粘膜を傷つける

ブラケットやワイヤーによる矯正の場合、装置の凹凸やワイヤーが粘膜に触れるため、特に凹凸が多い治療開始初期は粘膜を傷つけやすくなってしまいます。

・装置でできた傷から口内炎ができる

装置で粘膜を傷つけたり、ずっと当たっていることが刺激となって、口内炎ができやすくなります。
ずっと当たってしまうと治りも悪いので、矯正中は口内炎が痛いという方が多いです。

・金属アレルギーで口腔内に発疹ができる

金属アレルギーを発症してしまった場合、口腔内に発疹が出たことで痛む可能性があります。
これらを回避するには、マウスピース矯正がおすすめです。

歯を動かす際の痛みは、マウスピースであっても感じる方もいらっしゃいますので、ゼロではありません。
しかし、ワイヤーで引っ張る力による痛みよりも、マウスピースの圧力で動く痛みの方が軽いとも言われています。

また、装置の凹凸で傷つくことがないのはメリットではありますが、自分で外せるため、はめ心地が悪いからと外している時間が長いと、計画通りに歯が動かないので、デメリットもあります。

マウスピース矯正は痛みに不安な方やアレルギーがご心配な方には有効的な方法ですが、デメリットとなる面もあるので、よく検討して選ぶようにしましょう。

大人が歯列矯正を行うメリット

大人は子どもと違い、歯列矯正に求めるものや治療する理由にも違いがあります。

そのため、歯列矯正を行うにあたってのメリットもさまざまです。以下に、大人が歯列矯正を行うメリットを挙げてみましょう。

自信をもって笑うことができるようになる

大人の歯列矯正希望者の大多数が「見た目が悪いので改善したい」という理由で歯列矯正を希望されます。
歯列矯正を行って見た目の印象が良くなれば、これまで「口元を隠してしか笑えない」「写真に写るのが苦手」といった方も、自信を持って笑えるようになります。

・ビジネスシーンでのメリット

商談や面接など、第一印象が肝心なビジネスシーン、オーディションなどにおけるメリットは計り知れません。
アパレル系や美容系など、接客業をされている方は、お客様への好印象にも繋がります。

・プライベートの充実度アップ

コンプレックスを感じやすい「出っ歯」「口ゴボ」「受け口」などを改善することで、美しい横顔の指標とされるEラインを作りやすくなります。
これまで、つい手で覆ってしまう、うつむきがちなど、ご自身の表情に自信がなかった方も、自信を持って笑顔を見せられるようになり、前向きになれたというお声も多いです。

将来の虫歯や歯周病のリスクを下げることにつながる

歯並びが悪いと、歯が重なり合った部分は歯ブラシの毛先が届きにくいため、磨き残ししやすくなります。
そのため、歯並びが整っている場合に比べて、虫歯や歯周病のリスクは高くなり、必然的に歯を失ってしまう割合も高くなってしまいます。

歯列矯正を行うことで、これまで歯ブラシが届きにくかった部分も毛先が当たりやすくなり、虫歯や歯周病予防に繋がります。
歯や歯ぐきが健康であれば、歯へのダメージリスクも低くなり、必然的に歯の寿命を伸ばすことにも繋がります。

また、矯正治療は保険適応外になることがほとんどのため、高額な治療のような気がします。

しかし、歯並びが悪いまま過ごすことは、見た目のコンプレックスだけでなく、虫歯や歯周病を繰り返す可能性も高くなってしまいます。
そうなればおのずと長年治療費がかかります。

将来的にトータル医療費を考えた時に、見た目も良く歯磨きもしやすくなり、虫歯や歯周病治療にかかる費用が減ることを考えれば、矯正治療費は「先行投資」と考えることもできるのではないでしょうか。

噛み合わせが改善される

歯列矯正は歯並びを整えるだけでなく、正しい位置で噛み合っているかも考慮して治療計画を行います。

そのため、これまで噛み合わせにも難があった場合、それに付随して起こっていた不具合も改善できることがあります。

「歯並びさえ綺麗なら良い」「噛みにくいけどズラして噛めなくはない」という方もいらっしゃいますが、噛み合わせが悪いと以下のような問題が起こる可能性があるため侮れません。

・汚れが落ちにくく虫歯や歯周病リスクが高くなる

歯は、正しい位置で噛み合っていることで、自然な清掃効果である「自浄作用」が働きます。
噛み合わせがずれていると自浄作用が働きにくく、部分的に汚れが溜まってしまい、虫歯や歯周病のリスクは高くなってしまいます。

・咀嚼時に顎への負担がかかりやすい

噛み合うべき場所で噛めていないことで、歯が高い部分同士が強く当たってしまうことがあります。
そのため部分的に負担がかかり歯がダメージを受けたり、顎関節にも大きな負担がかかってしまい、顎関節症の症状が発現する要因となってしまうことがあります。

・口がきちんと閉じられないことから口呼吸の癖がつく

噛み合わせが合わないと噛み合わせても唇が閉じにくくなることがあります。
日常的に口が開いたままになると口呼吸優先になり、矯正治療の進行を抑制したり、せっかく並んだ歯も後戻りしやすくなります。

・発音への悪影響

発音は、しっかり歯が噛み合っていることも必要です。
噛み合わせた時に隙間がある、口が閉じきれない、舌が当たるべき場所に当たらないなど、さまざまな要素から発音がしにくくなり、滑舌が悪くなることもあります。

このようなお悩みを抱えている場合、歯列矯正することで症状が改善したり、予防したりすることができる可能性が高くなります。

食事がよく噛めるようになる

噛み合わせが良くなれば、これまで以上に食べ物をしっかり咀嚼して飲み込むことができるようになり、胃腸にかかる負担を軽減することにも繋がります。

噛み合わせが合っていなかった時は、噛める部分で無理に噛んでいたり、十分に咀嚼できないまま丸呑みしたりといった癖がついている可能性があります。

消化不良で胃腸に負担をかけていたり、十分に栄養素が取り込めず肥満につながる可能性などもあるので、噛み合わせを整えることは、身体の健康を維持するためにも効果を発揮します。

大人の歯列矯正の種類

では、大人の歯列矯正で用いられる装置には、どのような種類があるのでしょうか。

すでに顎の成長が完了しているため、歯を動かす「動的治療」が中心となり、そのために必要な装置から、歯並びの状態やご希望に沿って提案され、患者側はその中から選択します。

万が一、動的治療だけでは改善が難しいと診断された場合には、動的装置以外にも追加の装置や外科手術などを伴う提案がある場合もあります。

また、歯並びの状態や装置の種類によって、治療に要する期間や費用もさまざまです。
見た目や装着期間、費用の安さだけで選ぶのではなく、自分の歯並びの状態に一番適した方法で、後悔(失敗)することのない治療方法を選ぶことが、歯列矯正のリスク軽減には重要になります。

人によって歯並びの状態はさまざまですので、自身に最適と思われる歯列矯正の方法を選ぶことが大切です。

ワイヤー矯正

ワイヤー矯正は、歯の表面に「ブラケット」という小さな装置を専用の接着剤で取り付け、それらをワイヤーで連結し、少しずつ力を加えて引っ張りながら歯を動かしたい位置に誘導する方法です。
最も一般的な方法で、ほぼ全ての不正咬合に対応できるといわれています。

名  称 マルチブラケット、ブラケットワイヤー矯正など
治療期間 1〜3年
通院頻度 4週間に1回(月に1回)
60万円〜130万円前後

・装置の種類

装置を表側に付ける方法、裏側に付ける方法、目立つ上顎のみ裏側に付ける方法(ハーフリンガル)があります。
最近はブラケットの種類も増え、透明や白色の目立ちにくい色のブラケットやワイヤーを選択できたり、ワイヤーをブラケットに連結しなくてもよい滑らかな形状のタイプなどを取り扱っている医院もあります。
装置の取り扱いについて、ご希望のタイプがある場合は特に、事前に確認が必要です。

・通院頻度

歯の動きによって、毎月新たな力が加わるようにワイヤーの調整が必要になるため、4週間に1回ペースでの来院が必要です。

・調整後の痛み

個人差がありますが、調整を加えてから2、3日。長い方で1週間ほど痛みや歯が浮いたような間隔を伴うことがあります。
歯並びが揃ってくると大きく動かす必要がなくなってくるので、調整後の痛みも軽くなる傾向にあるようです。

・管理方法

基本的に装置は付いたままになるので、装置の管理は必要ありません。
ただ、取り外せないことのデメリットとして、磨き残しが起きやすく、汚れが溜まりやすくなるということがあります。そこで、治療中は歯科衛生士によるブラッシング指導を受け、毎月の調整日に磨き方のチェックや歯のクリーニングなども行います。
自宅で日々の歯磨きに、歯ブラシだけでなく、先の細いワンタフトブラシや歯間ブラシを併用して、ブラケットの横やワイヤーとの連結部など、汚れが溜まりやすいところを入念に歯磨きすることが必要です。

マウスピース矯正

マウスピース矯正は、歯列全体にマウスピース型の矯正装置を装着して行います。
治療開始から終了までを専用機器でシミュレーションし、定期的に圧力が加わるように設計された交換用アライナーを決められた期間で交換していきます。

交換は患者自身で行いますので、自宅での管理が重要になります。

名  称 インビザライン、アソアライナー、ウィスマイル、キレイライン、クリアコレクトなど
治療期間 数ヶ月〜2年程度
通院頻度 1ヶ月〜3ヶ月に1回
費  用 30万円〜100万円前後

・装置の種類

「歯に圧をかけて動かす」という基本的な作用は同じですが、メーカーごとに動かせる歯の範囲が異なりますので、どのメーカーでも思ったような歯並びになるとは限りません。

おすすめは「インビザライン」です。こちらは世界シェア率No.1のメーカーで、マウスピース矯正の先駆け的な存在でもあります。
奥歯から全体的に動かすことができるため、これまで一般的なワイヤー矯正を行っていた矯正歯科医師が治療方法としての導入も増えています。
中には「奥歯の抜歯は必要ない」「奥歯を動かさずに部分的に前歯だけを治療する」というタイプもあります。部分矯正で済むような軽度のずれや矯正後の後戻りには効果があり費用も抑えることができる場合もあります。

しかし歯並びによっては、思ったような歯並びにならず、中途半端な状態で治療が終わってしまったという例もありますので、マウスピース矯正のメーカーの選択は特に「理想の歯並びになるかどうか」「治療を担当する歯科医師の専門性」は重視して選択することをお勧めします。

・通院頻度

歯科医師による調整は基本ありませんので、定期検診は歯並びの状態によって、長ければ3ヶ月に1度の来院で済むこともあります。仕事や部活で忙しく「なかなか毎月調整に行くことができない」という方には合っている治療法となるのではないでしょうか。

ただし、あくまでも「問題なく定期検診だけで良い」という方の場合で、毎月口腔内の管理が必要(虫歯や歯周病ができやすい、顎の成長家庭であるお子様など)は、マウスピース矯正であっても、定期検診が毎月1回という場合もあります。
お口の状態によって通院頻度はここに変わることがありますので、カウンセリング時に確認しておきましょう。

・調整後の痛み

マウスピース矯正は、ワイヤーほど痛みがないという方が多いようです。
ワイヤーのように、調整を行わないため、マウスピースの交換時に多少の違和感や圧迫感を感じる程度だといわれています。
また、装置の凹凸もないため、粘膜を傷つけることもありませんので、外傷から起こる粘膜の痛みも感じることがありません。

・管理方法

マウスピース矯正は取り外しができる装置のため、歯磨きしやすく、食事も外して行えるため、食べられないものなど気遣う必要もありません。
調整が必要なく、通院頻度も多くないのがメリットではありますが、取り外せることでのメリットがデメリットになってしまうこともありますので、注意が必要です。
例えば、歯科医師の指示の下、定期的に決められた間隔でマウスピースを交換しなければなりません。また、1日の装着時間も、おおよそ20時間以上と決められています。
装着時間や交換時期を守らないと、計画通りに歯が動かず、思った歯並びにならない可能性もあるため、自身の管理能力が必要になります。

 

ワイヤー矯正の種類や費用を解説!ワイヤー矯正とマウスピース矯正どっちが向いてる?

まとめ

結論、大人になってからでも歯列矯正はできます。

健康な口腔状態であれば、年齢制限もありません。
矯正治療によって見た目のコンプレックスが解消され、食べ物も美味しく噛めるようになり、虫歯や歯周病のリスクも軽減することができます。

ただし、安易に歯科医院を選んでしまうと、思ったような歯並びにならないなど、トラブルを招く恐れもあります。
大人になれば、虫歯や歯周病で歯を失っている部分があったり、現在虫歯や歯周病があるという方もいらっしゃいますので、矯正治療をお考えの際には、まず矯正治療を行っている歯科医院でカウンセリングをお受けになり、ご自身の歯並びを治療するにあたってどのような治療が最適であるかの確認も必要です。

歯並びもここに違いますので、ご自身のリスクや安全に治療を受けるにはどのような治療が合っているかを模索するためにも、1医院だけで決めてしまわずに、いくつか医院を廻って見るのも良いでしょう。

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